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コラム

欠ける生活者目線  生産に偏る食料安保議論  アグリラボ所長コラムの写真

欠ける生活者目線  生産に偏る食料安保議論  アグリラボ所長コラム

 食品の値上げが相次いでいる。夏以降も一段の値上がりが確実で、消費者は不安を募らせている。背景には新型コロナの感染拡大やロシアによるウクライナへの侵攻があり、食料安全保障に対する意識が高まってきた。  自民党は2月24日に「食料安全保障に関する検討委員会」(委員長・森山裕元農相)を設け、肥料など農業...

「理念」共有できるか  みどりのシステム戦略の課題  アグリラボ所長コラムの写真

「理念」共有できるか  みどりのシステム戦略の課題  アグリラボ所長コラム

 昨年5月に農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」を推進するための新法が4月22日に国会で可決・成立し、有機農業の拡大や化学農薬・肥料の低減など「持続可能な農業」と「地球環境の保全」の両立を目指す政策が動き始める。  ただ、自治体や農業生産者ら現場では戸惑いも多い。「何のため」「誰のため」...

ウクライナ農政のミステリー  農地改革で利害対立かの写真

ウクライナ農政のミステリー  農地改革で利害対立か

 連日連夜トップニュースはウクライナ戦争だが、ウクライナの農業政策の首脳陣が激戦中に交代したことはほとんど報道されていない。農業政策をめぐり、ウクライナの内部に激しい利害対立がある可能性がある。  共同通信アグリラボの勉強会「めぐみフォーラム」で4月13日に講演したウクライナ研究の第一人者である岡部...

集中から分散へ  電力警報に学ぶ食料供給  アグリラボ所長コラムの写真

集中から分散へ  電力警報に学ぶ食料供給  アグリラボ所長コラム

 首都圏では桜が散り始めたが、わずか半月前までコートを手放せなかった。特に、3月21日夜から22日朝にかけては雪が舞うような寒さで、経済産業省は初の電力需給逼迫(ひっぱく)警報を発令した。  恥をさらすようだが、このような警報が存在することを知らなかった。東日本大震災以降、電力供給の綱渡り状態が継続...

コメを食べてもっと歩く  ウクライナ危機で食料・燃料高騰  アグリラボ所長コラムの写真

コメを食べてもっと歩く  ウクライナ危機で食料・燃料高騰  アグリラボ所長コラム

 ロシアによるウクライナ侵攻は、日本の敗戦間際の絶望的な状況を連想させ胸が潰れる思いだ。追い詰められているゼレンスキー政権に同情するが、「戦争の放棄」という敗戦で得た教訓を踏まえれば、武器を送ったり義勇兵の募集に応じたりして支援するのは間違っている。  ウクライナの人々に対する支援は、厳しい経済制裁...

何がめでたい「1兆円突破」  本質問われる農産物輸出  アグリラボ所長コラムの写真

何がめでたい「1兆円突破」  本質問われる農産物輸出  アグリラボ所長コラム

 コロナ禍が長期化し自炊する機会が増えた。「週末ぐらいたまには、すき焼きも悪くない」と買い物に出掛けたが、手に取った国産和牛を戻してオーストラリア産に変更。デザートもシャインマスカットは値段を見ただけで隣に並ぶチリ産レッドグローブを選んだ。「貿易の自由化で消費者の選択肢が増える」という状況は、本当に...