「一人一人の食料安保」 新たな定義に政策転換を期待 アグリラボ所長コラム
食料・農業・農村基本法の見直しを議論してきた農林水産省の基本法検証部会(部会長・中嶋康博東大大学院教授)は5月29日、野村哲郎農相に中間取りまとめを提出した。同省は意見の募集や地方説明会を経て、「農政の憲法」とも言われる基本法の改正を目指す。 中間取りまとめの中で特筆すべき点は、食料安全保障につ...
卵の流通に異変 自給率低下の恐れ アグリラボ所長コラム
大手食品メーカーのキユーピーが業務用にブラジル産の卵の輸入を始めた。95%の高い自給率を維持してきた鶏卵の流通が転換する節目になるだろう。 キユーピーが卵の輸入に踏み切った理由は、鳥インフルエンザに伴い採卵養鶏が大量に殺処分されたことだ。スーパーなどの店頭での影響を緩和するため、比較的サイズが小...
8割超が赤字、離農検討6割 悪化する酪農経営 中央酪農会議が調査
全国の酪農団体で構成する一般社団法人中央酪農会議(東京)が17日公表した「日本の酪農経営 実態調査」によると、調査対象の酪農家157人のうち、84.7%が赤字経営で、その43.6%は1カ月の赤字が100万円以上に達している。(写真はイメージ) 飼料価格や燃料費・光熱費の上昇、子牛販売価格の下落が...
法廷闘争が残した負の遺産 誰も責任をとらない諫早干拓 アグリラボ所長コラム
国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防の排水門を開くか閉じるかで争われた訴訟は、最高裁が3月1日に「非開門」の判断を下し、約20年にわたる法廷闘争は事実上決着した。一度は「開門」で確定したはずの逆転に、「(国に)見捨てられた気分だ」、「立つ気力もない」という漁業者の無念や落胆は察するに余りある。...
食料安保は農家への敬意から 穀物も肉も頼りは国内 小視曽四郎 農政ジャーナリ...
同じ安全保障の問題でもかくも大きな差を感じるのは、防衛力と食料への岸田文雄首相の態度だ。防衛ではバイデン米大統領に約束していた「抜本的強化」と「相当な増額」が、新春の訪米土産として出来上がったようだ。対する食料政策。価格高騰を「日本経済の大きなリスク要因」と、食料安保の重視を明言した首相。だが20...
大量殺処分は「災害」なのか アグリラボ所長コラム
(写真はイメージ) 高病原性鳥インフルエンザが全国各地で猛威を振るい、昨年秋以降、25道県で計70例(1月末現在)の発生があり、殺処分の対象は1235万羽を超えた。大半は卵を採取するための鶏で、全国の飼育数約1億3000万羽の約1割に達する。それでも流行の季節はまだ半ばで、春まで万全の警戒が必要...