8割超が赤字、離農検討6割 悪化する酪農経営 中央酪農会議が調査
2023.03.17
全国の酪農団体で構成する一般社団法人中央酪農会議(東京)が17日公表した「日本の酪農経営 実態調査」によると、調査対象の酪農家157人のうち、84.7%が赤字経営で、その43.6%は1カ月の赤字が100万円以上に達している。(写真はイメージ)
飼料価格や燃料費・光熱費の上昇、子牛販売価格の下落が重なり、深刻になっている酪農の状況が浮き彫りになった。58%の酪農家が離農を検討しているが、「日本の食の基盤維持のために経営を続けている」という回答も50.3%あった。
酪農家の86.0%が借入金を抱え、その規模は6軒に1軒は「1億円以上」(17.0%)だ。経営悪化の要因としては、「飼料価格の上昇」(97.5%)、「子牛販売価格の下落」(91.7%)が圧倒的に多い。
経営悪化の影響については、「牧場投資の減少」(68.8%)、「借入金増加」(58.6%)、「飼育頭数の減少」(21.0%)などの回答が多かった。「家族の生活費削減」(55.4%)、「子どもの教育費を削減」(15.3%)との回答もあり、家計への打撃も大きくなっている。
さらに「経営環境が改善する目途が見えない」(81.5%)、「借入金が増える」(60.5%)といった回答も多く、精神面の打撃も重くなっている。58.0%が離農を検討しており、酪農は存続の危機にある。
一方、調査時点で事業を継続している理由として、「生活の維持」(85.4%)、「借入金返済」(64.3%)に次いで、「日本の食の基盤を維持するため」(50.3%)、「飼育している牛に愛着があるから」(同)が並び、衰えない酪農家の経営意欲もみえる。
調査は3月2~13日に実施した。
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