偶然の白濁スープ 小倉「來々軒」1951年創業 小川祥平 西日本新聞社出版グ...
豚骨ラーメンって何だろうと考える。明治期に横浜・南京街で食べられていたラウメンは豚骨を使っていた。長崎チャンポンも沖縄そばも同じ。ただそれを豚骨ラーメンとは呼ばない。多くの人は豚骨ラーメンに白濁したスープを結びつけているのかもしれない。「豚骨=白濁」であるならば、始まりは北九州市小倉北区の「来々軒...
ポスト・マリトッツォは? イタリア菓子の素朴な魅力 畑中三応子 食文化研究家
その年を象徴する食品や料理を選ぶクックパッド「食トレンド大賞2021」で、「オートミールごはん」に大賞は譲ったものの、順当に入賞を果たしたのが「マリトッツォ」。ローマ発祥のパン菓子である。ぐるなび総研「今年の一皿」でも、軍配は「アルコールテイスト飲料」に上がったが、有力候補だった。 笑い顔のように...
椀に広がる楽しみ 懐中汁粉の魅力 植原綾香 近代食文化研究家
湯を注いでお手軽おいしいといえばカップラーメンが思い浮かぶが、湯を注いで食べる楽しみには意外と歴史があり、戦前に楽しまれたものの一つに懐中汁粉がある。 今でもスーパーや和菓子店で購入できるが、もなかの中に乾燥させたさらしあんが入っており、熱水で即席汁粉が完成する。 正確な起源は不明だが、1888(...
身の締まった真サバが魅力 長崎・福江島の鬼鯖鮨 小島愛之助 日本離島センター...
今回の舞台は長崎県五島市の主島・福江島、人口は3万4419人で全国の離島で5番目に多く、面積は326.31平方㌔で6番目に大きい外海離島である。 南西部の玉之浦や東部の岐宿、福江はリアス式海岸で複雑な海岸線を持っている。一方、西側の東シナ海に面した地域では海食崖が発達している。 島の南東部には福江...
土佐の洗礼 「どろめ」「のれそれ」とは 眉村孝 作家
「お姉さん、どろめに、のれそれをお願い」 今から20年ほど前の春、東京から高知市へ赴任したばかりのころだ。高知市のお隣、南国市で病院を経営するおんちゃん(土佐弁で「おじさん」の意味)とふとしたきっかけで知り合いになり、早速飲むことになった。 おんちゃんが指定した、高知市中心部にある「タマテ」という...
中華麺をカツオだしで 沖縄そばのルーツと魅力 小川祥平 西日本新聞社出版グル...
明治の中期以降、東京や横浜の中華街で「ラーメン」が食べられるようになった。同時期、九州・長崎では華僑が中華麺を使った「ちゃんぽん」を生みだし、豚骨ラーメンへとつながっていく。さらに大陸に近い沖縄では独自の麺文化が根付いた。「沖縄そば」である。 ルーツは琉球王国時代の宮廷料理との説もあるが、詳しいこ...
地域現れる雑煮 材料に歴史あり 木下祐輔 アジア太平洋研究所調査役
そうか、こちらでは丸餅に白みそなのか。正月三が日、妻が作ってくれたお雑煮を見てふと考えた。 雑煮は1年の無事を祈り、正月に食べる伝統的な日本料理だ。沖縄など一部形が異なる地域もあるが、正月の風物詩として日本各地で親しまれている。そのため、餅の形やだし、具に至るまで多種多様な雑煮が存在する。(写真は...
低カロリーで健康効果も 植物性原料のミルク 畑中三応子 食文化研究家
年末年始に懸念された生乳の大量廃棄問題で、牛乳をそのままコップに注いでゴクゴク飲む習慣が復活し、「やっぱりおいしい」としみじみ感じている。 戦後、パン食の普及とともに牛乳の消費は右肩上がりで増えた。「新しい国民食糧」「完全栄養食品」と呼ばれ、池田内閣が所得倍増計画を打ち出したとき、社会党は「全国民...
たった一つの種芋 ミネラル豊富な種子島の味覚 小島愛之助 日本離島センター専...
鹿児島県の種子島は大隅諸島を構成する島の一つであり、県内の有人離島の中で最も東に位置している。人口は2万9847人で全国の離島で7番目に多く、面積は444.3平方㌔で5番目に大きい離島である。最高地点の標高は回峯(まわりのみね)の282.4㍍で、宮之浦岳の1936㍍を最高峰とする隣の屋久島と比べる...