シン・異国料理 藤野嘉子 料理研究家 連載「口福の源」
9月に入りました。秋ご飯が恋しいですね。サンマ(今年は良さそう)、秋サケ、キノコ、芋栗南京などなど。体と心と季節と食べ物。何だか繋(つな)がっていますね。 まだ少し蒸し暑い時期は「南蛮漬け」というお料理はいかがでしょうか。南蛮辛子(唐辛子)を入れた甘酢しょうゆのたれに魚、肉を揚げて漬け込む。マリネ...
夏のパワーフード 藤野嘉子 料理研究家 連載「口福の源」
夏のパワーフードに欠かせないのがニンニク。疲労回復、精力増強、食欲増進。イヤイヤ、もう聞いただけで元気出そうです。 アリシンという成分が、あの強烈な匂いのもと。加熱すると、遠くにいてもおなかがすくような感覚になりますね。 禅寺などでは、ニンニクやニラ、らっきょう、行者ニンニク、ネギなどの香りの強い...
キュウリが活躍する季節 藤野嘉子 料理研究家 連載「口福の源」
じめじめした蒸し暑い日が続いています。夏日はもう5月に経験済み。例年、この時期は晴れ間が時折のぞくとうれしい半面、梅雨が明ければ長い夏日と熱帯夜がいつまでも続くのだろうか、と思ってしまいます。 特に暑さに慣れていない夏の初めは疲れやすく、知らず知らずに熱中症になるケースもあります。 自然というのは...
「白」と「緑」の二大競演 藤野嘉子 料理研究家 連載「口福の源」
新緑の季節には食べなくてはいけないものがあります。青々しく、そしてたけだけしい。天に向かって真っすぐに伸びる、そんなに偉そうでもないのですが「アスパラガス」という野菜です。アスパラガスには、ホワイトとグリーンがあります。日本ではグリーンばかりよく見かけますが、ヨーロッパでは野菜の主役、メイン料理に...
春野菜たっぷり「沢煮椀」 藤野嘉子 料理研究家 連載「口福の源」
春になると、春野菜たちがたくさん出回ります。最近、季節感を野菜で感じるのは難しいといわれますが、それでも春は新タマネギ、新キャベツ、新ゴボウ、新ニンジン、そして新タケノコ。 なんでも「新」を付けたらいい、というくらいです。 その春野菜を束ねた、おいしい「沢煮椀(さわにわん)」という汁ものがあります...
カヌレ温故知新 畑中三応子 食文化研究家 連載「口福の源」
スイーツ界ではこの2、3年「カヌレ」人気が再燃している。 最初のブームは、1996年だった。90年代はティラミスを皮切りに、新種の菓子が現れては流行を繰り返した時代。東南アジア発祥のナタデココやタピオカも混じっていたため、〝洋菓子〟や〝ケーキ〟ではくくれなくなってしまった。そこで生まれたのが〝スイ...
甲州名物、ほうとうと富士 眉村孝 作家 連載「口福の源」
2月前半の3連休最終日の夕暮れ時。私と学生時代からの友人Tは、山梨県笛吹市の石和(いさわ)温泉街にある「甲州ほうとう小作(こさく)」ののれんをくぐった。 朝から寒風に当たりつつ、河口湖畔にある三ツ峠山(みつとうげやま)(標高1785メートル)を登ったため、体が芯から冷えている。時間が許すなら、温泉...
高知名産「山北みかん」 眉村孝 作家 連載「口福の源」
正月休み。長女夫婦が1歳の長男K君を連れてわが家へ遊びに来た。まだ確かとはいえない足取りで家の中を探検するのが楽しいK君は、玄関からリビングへ、リビングからキッチンへと休みなく動き回る。いつの間にか、ミカン箱の中から小さめの温州ミカンを二つ取り出し、両手に握っていた。 そのまま握らせておくと、つめ...
草津の四川料理、再び 眉村孝 作家 連載「口福の源」
「草津温泉の四川料理のRが閉店だって」。母校の先輩であるSさんからLINEのメッセージが届いたのは2023年正月のことだ。私は「ええ! いつですか?」と反応する。Sさんからは「先月だと。草津の楽しみがなくなってしまった」と返ってきた。 8年ほど前から母校の同窓生グループで草津温泉へ旅するようになっ...