広がらなかった白濁豚骨スープ 異端の鹿児島ラーメン 小川祥平 登山専門誌「の...
九州のラーメンの多くは豚骨誕生の地である福岡・久留米と関わりがある。発祥の店「南京千両」(久留米市)は、長崎のちゃんぽんも参考にして豚骨ラーメンを世に送り出した。白濁した豚骨スープを生みだしたのは西鉄久留米駅前にあった「三九」。その店主が軸となり、北九州、佐賀、大分、熊本、宮崎まで味が広がった。こ...
明治大正期に大衆化 郷愁感じる「縄のれん」 植原綾香 近代食文化研究家
外の空気が冷たくなってくると、赤ちょうちんの情景が心に浮かび、手狭で大衆的な居酒屋に行きたくなってくる。大衆居酒屋の魅力は、庶民的な料理と酒をなんといっても安く、そして気軽に楽しめる点にあるだろう。軒を連ねるノスタルジックな街へと繰り出せば、「せんべろ」すべく、今日はおおいに飲んでくれと言われてい...
何個も食べられる甘さ加減 あばあちゃんのおはぎ 眉村孝 作家
宮崎駿監督のアニメ「となりのトトロ」で、サツキ・メイ姉妹の一家が田舎へ引っ越してきて、近所のおばあちゃん宅で作ってもらったおはぎを食べる場面がある。 「おばあちゃんちのおはぎはとっても好き」とサツキが喜ぶと、おばあちゃんは「たんとおあがり」と返す。その間、メイはおはぎをほおばっている。トトロは、私...
おおらかに味わうシメの1杯 「元祖長浜屋」のラーメン 小川祥平 登山専門誌「...
古里の福岡を離れた学生時代、帰省の際は旧友とたびたび街へ繰り出した。深夜まで痛飲していると、誰からともなくシメの1杯の提案がある。合言葉はこうだった。「元祖行かん?」 元祖とは魚市場(福岡市中央区)近くにある「元祖長浜屋」のこと。中心部からちょっと離れているが、酔いどれの考えることは同じで、いつも...
指なじみと口触りで変わる味 飲食店の割り箸の歴史 植原綾香 近代食文化研究家
マレーシアに赴任した大学の友人から電話がきた。マレー料理のほかにも中華系の店も多く、日本のたこ焼きや焼き肉もあり、食には不自由しない暮らしだそうだ。 興味深かったのは、飲食店にいくと熱湯のカップがでてくるという話だ。飲みものかと思いきや、それでフォーク、スプーン、箸を洗うのだという。それだけ使いま...
街ごと楽しむ餃子 宇都宮で「後は何もいらない」 眉村孝 作家
6月下旬の週末の夕方。宇都宮市に単身赴任中の先輩Zさんと合流すると早速、JR宇都宮駅西口にある餃子店「香蘭」ののれんをくぐった。注文したのは宇都宮餃子の基本である焼き餃子と水餃子(写真:筆者撮影)、そしてビールだ。 かつて北関東で3年ほど勤務した私は何度も宇都宮の餃子店を訪れた。その後、東京へ転勤...
東京にある「古里の味」 73年から豚骨ラーメン 小川祥平 登山専門誌「のぼろ...
京都小平市の西武鉄道「小川駅」から歩く。近づくにつれて漂ってくるにおいに「あれ、豚骨ラーメン?」と思う。店に入るといかにも南国系の顔立ちをした大将に「九州の方かな?」。話してみるとあきらかに九州の言葉だった。 店主の石橋和明さん(74)=福岡県久留米市出身=が営むのはその名も「九州ラーメン いし」...
あめ色に煮込んだカキ 宮城・浦戸諸島の味 小島愛之助 日本離島センター専務理...
日本三景の一つである宮城県・松島湾に浮かぶ浦戸諸島、250を超える島々で形成されているが、有人島は4島のみである。 JR仙石線の本塩釜駅から徒歩10分で行ける「マリンゲート塩釜」から塩竃市営の定期船が運航しており、4島に渡ることができる。 約23分の船旅で到着する最初の島が桂島、面積0.76平方㌔...
特別なキーマカレー 利根川「最初の1滴」食べた 眉村孝 作家
「利根川の最初の1滴をくみ、みんなで朝のコーヒータイムを楽しみませんか」。こんなフレーズにひかれ「利根川源流ツアー」に参加したことを後悔し始めていた。2011年7月9日、全2日のツアーの初日が暮れる頃だ。 都民が使う水の8割を担うのが利根川・荒川水系。だが利根川の源流の場所を知る人はどれだけいるだ...