食べ物語

   

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東京にある「古里の味」  73年から豚骨ラーメン  小川祥平 登山専門誌「のぼろ」編集長の写真

東京にある「古里の味」  73年から豚骨ラーメン  小川祥平 登山専門誌「のぼろ...

京都小平市の西武鉄道「小川駅」から歩く。近づくにつれて漂ってくるにおいに「あれ、豚骨ラーメン?」と思う。店に入るといかにも南国系の顔立ちをした大将に「九州の方かな?」。話してみるとあきらかに九州の言葉だった。 店主の石橋和明さん(74)=福岡県久留米市出身=が営むのはその名も「九州ラーメン いし」...

あめ色に煮込んだカキ  宮城・浦戸諸島の味  小島愛之助 日本離島センター専務理事の写真

あめ色に煮込んだカキ  宮城・浦戸諸島の味  小島愛之助 日本離島センター専務理...

日本三景の一つである宮城県・松島湾に浮かぶ浦戸諸島、250を超える島々で形成されているが、有人島は4島のみである。 JR仙石線の本塩釜駅から徒歩10分で行ける「マリンゲート塩釜」から塩竃市営の定期船が運航しており、4島に渡ることができる。 約23分の船旅で到着する最初の島が桂島、面積0.76平方㌔...

特別なキーマカレー  利根川「最初の1滴」食べた  眉村孝 作家の写真

特別なキーマカレー  利根川「最初の1滴」食べた  眉村孝 作家

「利根川の最初の1滴をくみ、みんなで朝のコーヒータイムを楽しみませんか」。こんなフレーズにひかれ「利根川源流ツアー」に参加したことを後悔し始めていた。2011年7月9日、全2日のツアーの初日が暮れる頃だ。 都民が使う水の8割を担うのが利根川・荒川水系。だが利根川の源流の場所を知る人はどれだけいるだ...

戦火のがれきからよみがえった酒  沖縄、百年古酒の誓い  上野敏彦 記録作家の写真

戦火のがれきからよみがえった酒  沖縄、百年古酒の誓い  上野敏彦 記録作家

県民の4人に1人が犠牲になった沖縄戦。今年の5月15日は沖縄が日本に復帰して50年の節目ということで、メディアもさまざまな報道を繰り広げた。しかし、沖縄には全国の米軍施設の7割が今も集中するだけに、県民の間では本土の踏み台とされた戦時中の構図と何ら変わらないとの反発も強かった。 6月23日の慰霊の...

カフェー情緒が濃厚だったころ  版画「春の銀座夜景」に思う  植原綾香 近代食文化研究家の写真

カフェー情緒が濃厚だったころ  版画「春の銀座夜景」に思う  植原綾香 近代食文...

仕事を終えて外にでると、蒸した空気に潮の香りが混ざっている。夏が来たと思う瞬間である。 共同通信のビルを背に電通ビルのほうへと抜けていくと汐留から銀座へ出られる。特別な用がなくても夜の銀座を歩いてから帰ると、1日の苦労がキラキラとした都会の光に溶けていく。 好きな版画家に小泉癸巳男(きしお)がいる...

「海のギャング」を唐揚げで  伊豆諸島・神津島のウツボ  小島愛之助 日本離島センター専務理事の写真

「海のギャング」を唐揚げで  伊豆諸島・神津島のウツボ  小島愛之助 日本離島セ...

神津島は東京都伊豆諸島の有人離島としては最も西にある島である。周辺の島も含め数十個の流紋岩質単成火山があり、「神津島火山群」を形成している。島の形はひょうたん形をしており、シンボル的な存在である天上山(標高572㍍)を中心とした北部と、秩父山のある南部とに大きく分けられる。 天上山は838年に起き...

「山ごはん」の至福  長者原のとり天・だんご汁  眉村孝 作家の写真

「山ごはん」の至福  長者原のとり天・だんご汁  眉村孝 作家

山ごはんが好きだ。 狭い意味での山ごはんとは「登山で山頂に到達したときに食べる食事のこと」だろうか。どんな山でも、頂上に着くころには空腹でおなかがなっている。頂上で食べる食事は普段より数割増しのおいしさを感じる。 「山で自炊してこそ山ごはん」と力説する人もいるだろう。私も山用の小型ガスバーナーとア...

ボルシチはおいしかったが...  ウクライナでコメなし50日  水谷竹秀 ノンフィクションライターの写真

ボルシチはおいしかったが...  ウクライナでコメなし50日  水谷竹秀 ノンフ...

「郷に入っては郷に従え」ということわざがある。訪れた土地の文化や風習に従うべき、という意味だ。取材で海外に出る時、私は現地の料理を食べるのを鉄則にしてきた。だから日本料理店には目もくれない。 戦地のウクライナで取材をするため、日本をたった3月下旬時点でもそう決めていた。ポーランドを経由し、陸路で国...

平麺とこってりスープは変わらず  思い出のラーメン「赤のれん」  小川祥平 登山専門誌「のぼろ」編集長の写真

平麺とこってりスープは変わらず  思い出のラーメン「赤のれん」  小川祥平 登山...

誰にでも「思い出の店」なるものがあるはずだ。親に連れられていった。友人と入り浸った。1人で何度も通ったー。そんな店は、味だけではなく、なにかの記憶と結びついている場合も多い。ぼくにとってのそれは「元祖赤のれん 節ちゃんラーメン」(福岡市中央区)である。 一番通ったのは中高時代。近くに友人の家があっ...