「白」と「緑」の二大競演 藤野嘉子 料理研究家 連載「口福の源」
2024.06.10
新緑の季節には食べなくてはいけないものがあります。青々しく、そしてたけだけしい。天に向かって真っすぐに伸びる、そんなに偉そうでもないのですが「アスパラガス」という野菜です。アスパラガスには、ホワイトとグリーンがあります。日本ではグリーンばかりよく見かけますが、ヨーロッパでは野菜の主役、メイン料理にもなるほど大切に食べられているのが、ホワイトアスパラガスです。
別の種類と思っていらっしゃる方も多いのですが、育て方が違うだけで、実は同じものなのです。しかし、育て方が違うとこんなにも変わるのかと思うほど、味が違います。土の中で遮光されて育つホワイトは、土の香りの優しい甘さの姫のようです。一方グリーンは、そう! 陽(ひ)をたくさん浴びて、新緑の香りがします。今回は、とびきりおいしいホワイト、グリーン両方のアスパラガスをいただきましょう。
これはもう、ベーコンの香りとビネガーの酸味がたまらないアスパラガスが主役のメイン料理なんです。
太めのアスパラガスを2本以上としたのは、絶対にもっと食べたい! と思うから。そして、ベーコンは少しワイルドなものを用意して、赤ワインビネガーもお忘れなく。
ピーラーで皮をむくのは難しいかもしれませんが、まな板にアスパラを置いて、軽く引くと薄く皮がむけます。何回も作ったら、絶対にうまくなりますから、ぜひ作ってみてください。わが家では、このベーコンソースにパンを浸し、皿をふき取って食べるのが推しです。
・太めのアスパラガス 4本以上
・ベーコン 50グラム
・オリーブ油 大さじ2
・赤ワインビネガー 大さじ2
<作り方>
①アスパラガスは、太めのものを探して用意してください。
②よく切れるピーラー(これは皮むきの名前。いつかお話ししますが、良いものでむくと野菜の味が変わるのです)で根元から3分の1の皮をむきます。そして上のほうにある袴(はかま)は口の中でモソモソするので(袴に土が入っていることもありますから)取ります。小さいものは大丈夫です。
③鍋に1%の塩を加えた熱湯で、3分ほどゆでます。ざるにあげて水気を切ります。皿に並べて冷蔵庫へ。(もしアスパラが入る大きさの鍋がなかったら、半分に切ってもよい)
④ベーコンは細く切り、フライパンに入れてオリーブ油を加え強火にかけます。ベーコンが少しカリッとするまで炒めてワインビネガーを加え、一煮立ちさせて酸味を飛ばし、熱々のソースごとアスパラガスにかけて完成です。
(Kyodo Weekly・政経週報 2024年5月27日号掲載)
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