芋、栗、南京、焼き芋サラダ 藤野嘉子 料理研究家 連載「口福の源」
2024.11.04
「石焼き〜芋」と路地から聞こえる威勢のいい声に、子ども心が躍った。そんな時代に育った私ですが、最近はめっきりとみられなくなりました。懐かしい思い出です。
今では、スーパーの店先でいつでも買える焼き芋ですが、専門店もあり、芋の種類も豊富。焼き芋を使ったデザートまで、いろいろ楽しめる時代になりました。
サツマ芋は食物繊維が多いのと、ビタミンCなどの栄養価が高いので、食の細い子どもやお年寄りにはとてもいいのです。
また、最近では焼き芋をわざわざ冷やしていただくと、GI値(血糖値の上昇率)が低くなり、優等生な食べ物に変身するといわれています。若い男性も召し上がるのです。
そして何よりも生産者さんの努力で、とにかく、甘くねっとりした、ほくほくとしたスイーツのようなサツマ芋がたくさんあります。
みんな大好き、芋、栗、南京サマサマなのです。
種類別に分けてみると、甘みが濃厚なのは「紅はるか」。ねっとり甘いのが「安納芋」「シルクスイート」。ほくほく優しい甘みは、「紅あずま」「鳴門金時」。紫芋系は甘みあっさりが多いです。
まだまだたくさんありますが、皆さんのお好みは、いかがでしょうか。ちなみにわが家は、甘み濃厚でほくほく系の代表「里むすめ」という品種が大好きです。スーパーではなかなか販売していませんが、見かけたらぜひ買ってみてください。
そんな焼き芋でサラダを作りましょう。蒸し芋で作ってもよいのですが、やはり一味違うのです。
おいしすぎて食べすぎちゃうのが難点ですが、ハムなどは加えずにシンプルに、冷たい焼き芋のおいしさを堪能してください。
<材料>2~3人分
・好みの焼き芋 1本(250g~300g)
・きゅうり 1本
・レモン汁 小さじ1
・マヨネーズ 大さじ2~3
・プレーンヨーグルト 大さじ2
・ 塩 コショウ 適量
<作り方>
①焼き芋は皮を半分だけむいて、ザクザクと切ります。ボールに入れてレモン汁、塩コショウで下味をつけます(ここが味のポイント)。また、皮は香ばしさを出すためと胸やけしないために、少し加えます。
②きゅうりは3ミリ厚さに切り塩を振り、しんなりしたら水けを絞ります。
③焼き芋、きゅうり、マヨネーズ、ヨーグルトを加え混ぜ合わせます。
(Kyodo Weekly・政経週報 2024年10月21日号掲載)
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