食べ物語

夏のパワーフード  藤野嘉子 料理研究家  連載「口福の源」

2024.08.19

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夏のパワーフード  藤野嘉子 料理研究家  連載「口福の源」の写真

 夏のパワーフードに欠かせないのがニンニク。疲労回復、精力増強、食欲増進。イヤイヤ、もう聞いただけで元気出そうです。

 アリシンという成分が、あの強烈な匂いのもと。加熱すると、遠くにいてもおなかがすくような感覚になりますね。

 禅寺などでは、ニンニクやニラ、らっきょう、行者ニンニク、ネギなどの香りの強い野菜は、修行僧の煩悩を刺激して修行にならないので、持ち込んではならぬ、という戒律があるほどです。

 それほどに、魅力的なニンニクですが、体へのパワーアップだけではなく、合わせる素材のうまみを引き立て、料理をおいしくする縁の下の力持ちなのです。

 今回は相性抜群の豚肉とオリーブオイルで作る「ガーリックポークソテー」。

 この料理は、応用がいっぱいです。豚肉の他に、鶏モモ肉やカジキマグロ、夏が旬のイワシもおいしいのです。

 きりっと冷えた白ワインも相性抜群ですね。

ガーリックポークソテー

<材料>2人分
・豚ロースソテー用 2枚(350g~400g)
・塩小さじ1/2 ・コショウ
・ニンニク 3片
・オリーブオイル 大さじ2 ・トマト 1個

<作り方>
①豚肉は脂と肉の間にある筋に切れ目を入れて筋切りをします。塩コショウをふっておきます。
②ニンニクは薄皮がついているので、水につけ薄皮を取り横に薄切りにします。芯の部分が色付いている時は竹串などで取り除いておく。(ニンニクは厚みをそろえないと、焦げたり、生焼けだったり、料理の味が変わります。厚みをそろえて切ることがポイント1です。また取り除いた芽の部分は糖度が高く、すぐに焦げるので必ず取り除きます)
③付け合わせ兼ソースにもなるトマトは、完熟のものを。へたを取りくし形切りにしてください。
④フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れて弱火にかけます。じっくりオイルにニンニクの香りをつけ、ニンニクが香ばしく色付いたら、一度取り出します。(ポイント2。ここでは弱火でじっくりと加熱。どんなに時間がなくても強火で炒めるとあっという間に焦げてしまいます。ニンニクの焦げたものは、残念というほかありません)
⑤豚肉を表になる方から(右側に脂の多いところが来るように)並べ、中火で3~4分ソテーします。
⑥きれいな焼き色がついたら裏返して、ニンニクを肉の上に戻して、さらに2~3分焼き、皿に盛り付けます。この時フライパンの油を肉にかけます。(これは上級のおいしい作業です)
⑦フライパンに残ったオイルに、トマトを加え中火で炒めます。トマトの角が少し崩れたら、塩コショウで味をつけ、盛り付けます。

(Kyodo Weekly・政経週報 2024年8月5日号掲載)

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