シン・異国料理 藤野嘉子 料理研究家 連載「口福の源」
2024.09.30
9月に入りました。秋ご飯が恋しいですね。サンマ(今年は良さそう)、秋サケ、キノコ、芋栗南京などなど。体と心と季節と食べ物。何だか繋(つな)がっていますね。
まだ少し蒸し暑い時期は「南蛮漬け」というお料理はいかがでしょうか。南蛮辛子(唐辛子)を入れた甘酢しょうゆのたれに魚、肉を揚げて漬け込む。マリネやエスカベッシュの日本版というところでしょうか。
そば屋さんの「南蛮うどん」はネギを使うからという説もあるそうですが、名前に南蛮という文字が入ると、不思議に異国を感じ、調味料を重ねた味に驚いた、遠い昔の時代の人々に思いをはせてしまいます。
ちなみにランチで人気の「チキン南蛮」はから揚げではなく鶏肉の卵揚げを南蛮だれに漬けたものなんです。よりおいしくということで卵のタルタルがかかっている店もあります。
今回は難しそうで簡単な、季節のおかず「サンマの南蛮漬け」です。作りたてもおいしいのですが、冷蔵庫で1晩漬けるとシミシミのお味です。
骨がなく少し気が楽な鮭バージョンもおすすめです。鮭の切り身2~3切れを食べやすく四つくらいに切り、小麦粉をつけます。同様に焼いて南蛮漬けのたれに漬けます。
異国の料理が進化して私たちの食卓へ。食文化の楽しさですね。
<材料>2人分
・サンマ 2尾(頭とワタが掃除してある物)
・玉ねぎ 1/2個
・みょうが 2個
・青じそ 4枚
・漬け汁(しょうゆ大さじ2、酢大さじ3、みりん大さじ1、唐辛子の輪切り1本分)
・揚げ油、小麦粉 適量
<作り方>
①サンマは水気をペーパーでしっかりとふきます。4センチの長さに切ります。中骨の上あたりに横切れ目を入れます。
②玉ねぎは繊維にそって薄切りにし、みょうがは薄切りにして、青じそは5ミリ角に切ります。
③バットに漬け汁を入れ、野菜も加え混ぜておきます。
④サンマ全体に小麦粉をつけます。
⑤フライパンに油を大さじ3くらい入れてサンマを入れて中火でこんがりするまで揚げ焼きにします。サンマの香ばしい香りが立ってきたら取り出します。
⑥頭の方から中骨を引き抜きます(ここは難しい!魚は頭から尾に向かって骨の向きがあるのです)。コツは骨抜きなどで、中骨をつかみゆっくりと引き抜きます。もしなかなか抜けないときは、反対側から抜きます。取れたら、バットに入れ野菜と絡め漬けます。
⑦そのまま粗熱を取り、冷蔵庫に30分入れて味をなじませます。
(Kyodo Weekly・政経週報 2024年9月16日号掲載)
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