暮らす

田園・地方分散

東京圏転出超過をどうみるか  藤波匠 日本総合研究所調査部上席主任研究員の写真

東京圏転出超過をどうみるか  藤波匠 日本総合研究所調査部上席主任研究員

 7月、東京圏(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)の人口移動が転出超過となった。経済の中心である東京圏は、長らく転入超過で推移しており、転出超過は東日本大震災の影響が色濃く残っていた2012年12月以来となる。  今回は、新型コロナウイルスの感染拡大とリモートワークの普及により、地方移住が注目されて...

人口増への仕掛けづくり  出町譲 ジャーナリストの写真

人口増への仕掛けづくり  出町譲 ジャーナリスト

 新型コロナをきっかけに、東京一極集中が是正されるという期待感が出ている。「3密の極み」東京から、人口の少ない地方へ人が流れるというのだ。  しかし、私はそんな単純なストーリーにはくみしない。どこの地方もそんな恩恵にあずかれるわけではない。口を開けていれば、人口が増えるわけではない。大事なのは、それ...

被災地に向き合う〝よそ者〟駅長  山田昌邦 共同通信福島支局長の写真

被災地に向き合う〝よそ者〟駅長  山田昌邦 共同通信福島支局長

 福島県沿岸部の浪江町。この町役場の北側に8月、「道の駅なみえ」がオープンし、町内外から多くの人が訪れている。木材を多用した施設には地元産の野菜や生花、鮮魚のほか、伝統工芸の陶器「大堀相馬焼」なども並ぶ。来訪者がくつろげる談話室もあり、ガラス張りのフードテラスでは、2013年のB級グルメグランプリ1...

コロナがもたらす明るい兆し  大西かおり NPO法人大杉谷自然学校校長の写真

コロナがもたらす明るい兆し  大西かおり NPO法人大杉谷自然学校校長

 夏の繁忙期だというのに、筆者が校長を務める大杉谷自然学校(三重県大台町)では宿泊を伴うキャンプをすべて中止にした。新型コロナウイルス感染防止のためだ。現在、実施する一般向け体験は、日帰りの家族向け川遊びだけである。全日満員だったが、ここ2週間でコロナ由来のキャンセルが相次いだ。  一方、政府の「G...

「ふるさと納税」と地域振興  沼尾波子 東洋大学教授の写真

「ふるさと納税」と地域振興  沼尾波子 東洋大学教授

 6月、大阪府の泉佐野市ふるさと納税訴訟の最高裁判決が出された。ふるさと納税とは、個人が自治体に寄付を行った場合、寄付額から2000円を差し引いた金額が、所得税・住民税から控除される制度である(上限あり)。  寄付を受けた自治体は、寄付額の3割を上限に地場産品などの返礼品を送ることができる。多くの人...

原発事故乗り越え自然栽培  山田昌邦 共同通信福島支局長の写真

原発事故乗り越え自然栽培  山田昌邦 共同通信福島支局長

 「あの事故の後、この土地から去って行った者はいたけど、入ってきたのはあんたぐらいだ」  福島県北部の伊達市で、農薬も肥料も使わない自然栽培の農園「フェルムナチュレール・コクブン」を営む国分喜行さん(47)は、営農を始めた9年前、周りの農家に言われた言葉を思い出し、日焼けした顔に笑みを浮かべた。(写...