いま味わう「起死回生の水」 「琵琶湖疏水」が守る京都 真鍋綾 文筆業
「こんなところに疎水(そすい)が?」 昨年秋、筆者は大阪から京都へ移住したが、自宅近くの水流にかかる橋に「琵琶湖疏水」の文字があって驚いた。「琵琶湖疏水」といえば、南禅寺にある水路閣(写真)というレンガ造りの橋しか知らなかったからだ。 「琵琶湖疏水」の歴史は明治時代にさかのぼる。当時の京都は明...
人口10万人という圏域 「地域生活圏」の規模を考える 沼尾波子 東洋大学教授
日ごろ、ビジネスや生活を通じて自分が行動する範囲は、どの程度の広がりを持っているだろうか。また、感染症拡大はその範囲をどのように変化させたのだろうか。今回はこうした圏域とその人口規模について最近の議論を紹介する。 今年6月、国土審議会計画推進部会国土の長期展望専門委員会は最終とりまとめで、「地域...
移住者がつなぐ伝統工芸 いわきに遠野和紙の工房 山田昌邦 共同通信福島支局長
生成り特有の素朴な色合いの手すき和紙が、映画「フラガール」の舞台で知られる福島県南東部のいわき市で生産されている。 遠野和紙。美濃や越前といった「日本三大和紙」ほど知名度はないが、400年以上の歴史を持つ福島の伝統工芸だ。阿武隈山地の山あいに位置する同市遠野町の集落で、最盛期の1887(明治20...
幕末の長崎を再現したい 飛躍する人材の目的地に 陣内純英 西海みずき信用組合...
長崎県は若者の人口流出(とくに高校卒業時と大学卒業時)に悩んでおり、県内就職率の向上が大きな課題だ。筆者が思うに、県内就職率が低いのは長崎県内の企業のことを学生が知らないことが一因だろう。 特に佐世保市は、県下第2の大都市でありながら、有名企業は少ない。市内の学生さんに尋ねても、「ジャパネット以...
地方にも良質な賃貸住宅市場を 増やしたい身軽な住み替え 藤波匠 日本総合研究...
「夢のマイホーム」。使い古された言葉ですが、依然として同意する人は多いでしょう。一生家賃を払い続けても何も残らないが、持ち家ならローンが終われば自分のものとは、不動産業者の常とう句ですが、正論でもあります。 高齢社会になり、持ち家がない人は、老後に家を借りるのが一苦労で、しかも家計が破綻するリス...
都市と農村の縁組 東京都世田谷区と群馬県川場村の40年 沼尾波子 東洋大学教...
東京都世田谷区と群馬県川場村は、40年前にふるさとづくり戦略に根差した「縁組」協定を締結、そのつながりは両地域の暮らしを豊かなものにしている。 1981年、世田谷区は川場村との間で「縁組協定」(正式名称:区民健康村相互協力に関する協定)を結んだ。 当時、全国的にも過密過疎問題が指摘され、77万...