何個も食べられる甘さ加減 あばあちゃんのおはぎ 眉村孝 作家
宮崎駿監督のアニメ「となりのトトロ」で、サツキ・メイ姉妹の一家が田舎へ引っ越してきて、近所のおばあちゃん宅で作ってもらったおはぎを食べる場面がある。 「おばあちゃんちのおはぎはとっても好き」とサツキが喜ぶと、おばあちゃんは「たんとおあがり」と返す。その間、メイはおはぎをほおばっている。トトロは、私...
おおらかに味わうシメの1杯 「元祖長浜屋」のラーメン 小川祥平 登山専門誌「...
古里の福岡を離れた学生時代、帰省の際は旧友とたびたび街へ繰り出した。深夜まで痛飲していると、誰からともなくシメの1杯の提案がある。合言葉はこうだった。「元祖行かん?」 元祖とは魚市場(福岡市中央区)近くにある「元祖長浜屋」のこと。中心部からちょっと離れているが、酔いどれの考えることは同じで、いつも...
指なじみと口触りで変わる味 飲食店の割り箸の歴史 植原綾香 近代食文化研究家
マレーシアに赴任した大学の友人から電話がきた。マレー料理のほかにも中華系の店も多く、日本のたこ焼きや焼き肉もあり、食には不自由しない暮らしだそうだ。 興味深かったのは、飲食店にいくと熱湯のカップがでてくるという話だ。飲みものかと思いきや、それでフォーク、スプーン、箸を洗うのだという。それだけ使いま...
街ごと楽しむ餃子 宇都宮で「後は何もいらない」 眉村孝 作家
6月下旬の週末の夕方。宇都宮市に単身赴任中の先輩Zさんと合流すると早速、JR宇都宮駅西口にある餃子店「香蘭」ののれんをくぐった。注文したのは宇都宮餃子の基本である焼き餃子と水餃子(写真:筆者撮影)、そしてビールだ。 かつて北関東で3年ほど勤務した私は何度も宇都宮の餃子店を訪れた。その後、東京へ転勤...
東京にある「古里の味」 73年から豚骨ラーメン 小川祥平 登山専門誌「のぼろ...
京都小平市の西武鉄道「小川駅」から歩く。近づくにつれて漂ってくるにおいに「あれ、豚骨ラーメン?」と思う。店に入るといかにも南国系の顔立ちをした大将に「九州の方かな?」。話してみるとあきらかに九州の言葉だった。 店主の石橋和明さん(74)=福岡県久留米市出身=が営むのはその名も「九州ラーメン いし」...
あめ色に煮込んだカキ 宮城・浦戸諸島の味 小島愛之助 日本離島センター専務理...
日本三景の一つである宮城県・松島湾に浮かぶ浦戸諸島、250を超える島々で形成されているが、有人島は4島のみである。 JR仙石線の本塩釜駅から徒歩10分で行ける「マリンゲート塩釜」から塩竃市営の定期船が運航しており、4島に渡ることができる。 約23分の船旅で到着する最初の島が桂島、面積0.76平方㌔...
特別なキーマカレー 利根川「最初の1滴」食べた 眉村孝 作家
「利根川の最初の1滴をくみ、みんなで朝のコーヒータイムを楽しみませんか」。こんなフレーズにひかれ「利根川源流ツアー」に参加したことを後悔し始めていた。2011年7月9日、全2日のツアーの初日が暮れる頃だ。 都民が使う水の8割を担うのが利根川・荒川水系。だが利根川の源流の場所を知る人はどれだけいるだ...
戦火のがれきからよみがえった酒 沖縄、百年古酒の誓い 上野敏彦 記録作家
県民の4人に1人が犠牲になった沖縄戦。今年の5月15日は沖縄が日本に復帰して50年の節目ということで、メディアもさまざまな報道を繰り広げた。しかし、沖縄には全国の米軍施設の7割が今も集中するだけに、県民の間では本土の踏み台とされた戦時中の構図と何ら変わらないとの反発も強かった。 6月23日の慰霊の...
カフェー情緒が濃厚だったころ 版画「春の銀座夜景」に思う 植原綾香 近代食文...
仕事を終えて外にでると、蒸した空気に潮の香りが混ざっている。夏が来たと思う瞬間である。 共同通信のビルを背に電通ビルのほうへと抜けていくと汐留から銀座へ出られる。特別な用がなくても夜の銀座を歩いてから帰ると、1日の苦労がキラキラとした都会の光に溶けていく。 好きな版画家に小泉癸巳男(きしお)がいる...