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豚骨は久留米から日田へ  来々軒の歴史  小川祥平 登山専門誌「のぼろ」編集長の写真

豚骨は久留米から日田へ  来々軒の歴史  小川祥平 登山専門誌「のぼろ」編集長

「ここの屋台は解散。今からはラーメンを広めていこう」 白濁豚骨ラーメンを生みだした屋台「三九」(福岡県久留米市)創業者の杉野勝見さんはそう宣言した。この言葉がなければ、豚骨ラーメンが九州各地に広がることはなかったかもしれない。 宣言した相手は屋台で一緒に働いていた叔父、田中始さん。杉野さんは言葉通...

脂たっぷり肉厚の「黄金アジ」  巡り合った千葉・金谷産  眉村孝 作家の写真

脂たっぷり肉厚の「黄金アジ」  巡り合った千葉・金谷産  眉村孝 作家

「ごめんね。今、終わっちゃったのよ」。11月半ばの平日の午後1時前。東京・八丁堀の路地にあるランチが評判の居酒屋を初めて訪れると、洗い物をしていた女性からこう告げられた。 人気の店だから仕方あるまい。踵を返し、近くでランチの店を探す。すると、同じ路地の奥にある「黄金アジフライ&ヒレカツ ¥950」...

熊本に広がった豚骨  四ケ所日出光さんの功績  小川祥平 登山専門誌「のぼろ」編集長の写真

熊本に広がった豚骨  四ケ所日出光さんの功績  小川祥平 登山専門誌「のぼろ」編...

九州中に豚骨ラーメンを広めた立役者を挙げるならば、次の2人だろう。白濁豚骨を生み出した屋台「三九(さんきゅう)」(福岡県久留米市)創業者の杉野勝見さんと、その屋台を継いだ四ケ所日出光(しかしょ・ひでみつ)さんだ。 久留米を離れた杉野さんは北九州市で「来々軒」を開業。親戚にも味を教え、大分県日田市に...

地域の「違い」楽しみたい  冬の食「おでん」「関東煮」  植原綾香 近代食文化研究家の写真

地域の「違い」楽しみたい  冬の食「おでん」「関東煮」  植原綾香 近代食文化研...

関東育ちの私にとって関西の食べ物は知らないことばかりだ。くるみ餅、ちょぼ焼き、ちりとり鍋など、これは何だろうと思うメニューを見つけると、どんなに便利になっても全国均一化されることのない食の差異に心が躍る。 そんな食いしん坊にとって、違いを楽しみたい冬の食におでんがある。おでんのルーツは諸説あるが、...

日本海の新鮮な魚に満足  糸魚川「地魚料理すし活」  眉村孝 作家の写真

日本海の新鮮な魚に満足  糸魚川「地魚料理すし活」  眉村孝 作家

引き戸をがらがらと開け「ごめんください」と声をかけた。見知らぬ土地、そして初めて訪れるすし屋。緊張で、声が少しうわずった。いちげんさんに、よそよそしい態度で接するすし屋は少なくない。だが、大将らしき男性から返ってきた「いらっしゃい」の声は、想像していたよりずっと温かみがあった。 新潟県糸魚川市にあ...

広がらなかった白濁豚骨スープ  異端の鹿児島ラーメン  小川祥平 登山専門誌「のぼろ」編集長の写真

広がらなかった白濁豚骨スープ  異端の鹿児島ラーメン  小川祥平 登山専門誌「の...

九州のラーメンの多くは豚骨誕生の地である福岡・久留米と関わりがある。発祥の店「南京千両」(久留米市)は、長崎のちゃんぽんも参考にして豚骨ラーメンを世に送り出した。白濁した豚骨スープを生みだしたのは西鉄久留米駅前にあった「三九」。その店主が軸となり、北九州、佐賀、大分、熊本、宮崎まで味が広がった。こ...

明治大正期に大衆化  郷愁感じる「縄のれん」  植原綾香 近代食文化研究家の写真

明治大正期に大衆化  郷愁感じる「縄のれん」  植原綾香 近代食文化研究家

外の空気が冷たくなってくると、赤ちょうちんの情景が心に浮かび、手狭で大衆的な居酒屋に行きたくなってくる。大衆居酒屋の魅力は、庶民的な料理と酒をなんといっても安く、そして気軽に楽しめる点にあるだろう。軒を連ねるノスタルジックな街へと繰り出せば、「せんべろ」すべく、今日はおおいに飲んでくれと言われてい...

何個も食べられる甘さ加減  あばあちゃんのおはぎ  眉村孝 作家の写真

何個も食べられる甘さ加減  あばあちゃんのおはぎ  眉村孝 作家

宮崎駿監督のアニメ「となりのトトロ」で、サツキ・メイ姉妹の一家が田舎へ引っ越してきて、近所のおばあちゃん宅で作ってもらったおはぎを食べる場面がある。 「おばあちゃんちのおはぎはとっても好き」とサツキが喜ぶと、おばあちゃんは「たんとおあがり」と返す。その間、メイはおはぎをほおばっている。トトロは、私...

おおらかに味わうシメの1杯  「元祖長浜屋」のラーメン  小川祥平 登山専門誌「のぼろ」編集長の写真

おおらかに味わうシメの1杯  「元祖長浜屋」のラーメン  小川祥平 登山専門誌「...

古里の福岡を離れた学生時代、帰省の際は旧友とたびたび街へ繰り出した。深夜まで痛飲していると、誰からともなくシメの1杯の提案がある。合言葉はこうだった。「元祖行かん?」 元祖とは魚市場(福岡市中央区)近くにある「元祖長浜屋」のこと。中心部からちょっと離れているが、酔いどれの考えることは同じで、いつも...