「プリンセスミチコ」11蔵が勢ぞろい 東京農大開発の花酵母使用
2023.06.15
「めぐみネット」で連載中の作家・稲田宗一郎さんのルポ「農大酵母の酒蔵を訪ねて」で取り上げている、花酵母のプリンセスミチコで仕込まれた全国の純米吟醸酒が勢ぞろいした。
プリンセスミチコは、美智子上皇后が皇太子妃の時に英国から献呈されたオレンジ色のバラで、この花弁を使って東京農大が2017年、中田久保名誉教授の研究を基に花酵母を分離した。
東京農大は6月15日、東京・世田谷キャンパスで11蔵元の試飲会・交流会を開き、酒蔵の代表、教職員、学生らが参加した。「香りが華やで味わいが優しい」「酵母が同じでも蔵元の個性を感じる」「使用している米の品種を明記した方が良い」など、蔵元と感想や意見を交換した。
食用米で醸造した「桜翔」を出展した浦里酒造店(茨城県つくば市)の浦里知可良さんは「プリンセスミチコはやや発酵の力が弱いところがあり、阿見町産のミルキークインはアミロース米なので、麹を作るときに固まる傾向がある」と、技術面の難しさを説明した。
このほか、南部美人(岩手県二戸市)、出羽桜酒造(山形県天童市)、一ノ蔵(宮城県大崎市松山)、来福酒造(茨城県筑西市)、浅間酒造(群馬県長野原町)、関谷醸造(愛知県設楽町)、石鎚酒造(愛媛県西条市)、中尾醸造(広島県竹原市)、澄川酒造場(山口県萩市)、重家酒造(長崎県壱岐島)が出展した。
蔵元の代表は全員、国内で唯一醸造科学科を持つ東京農業大の卒業生で、同窓会のような雰囲気の中、技術や販売面での情報も交換した。会場では即売会も開かれた。問い合わせは、学校法人東京農業大学の100%出資の事業会社(株)農大サポート。電話03(5477)2468
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