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日本産食品、輸入が過去最高 ベトナム 24年24%増、ホタテ100億円超え  NNA

2025.02.18

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 日本の農林水産省によれば、2024年のベトナムの日本産農林水産物や食品の輸入額は862億円で、23年を24%上回り過去最高を更新した。水産物が42%増の339億円とけん引し、特にホタテは10倍以上の106億円に急増した。日本産ホタテの販売や委託加工で最大輸出先だった中国が、福島第一原発の処理水の海への放出が始まった23年8月以降に日本産水産物の輸入を禁止したことで、代替の出荷先としてベトナムが急浮上している。(日本産食品の輸入が増えている。写真はホーチミン市1区レタントン通りの小路)

 日本産品の輸入額は00年以降、右肩上がりで増えてきた。ベトナムの経済成長が鈍化した23年は4%減と4年ぶりのマイナスだったが、24年は反転した。日本の農林水産物の輸出全体に占める国別のシェアも6.1%と初めて6%台に乗った。

 ■数量ベースでも拡大


 輸入額のうち全体の6割を占める農産物は14%増の516億円、4割弱の水産物は42%増の339億円、残りの林産物は7億円で横ばいだった。

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 日本産の輸入が増えた原因の一つが円安の進行だ。23年は1米ドル=約143円だった平均レートは24年は約159円と1割余り下落した。ドンの対米ドルレートは相対的に安定していたため、ベトナム市場での日本産品の競争力が強まったが、生鮮や冷蔵・冷凍などの魚介類の輸入は数量ベースでも35%増えており輸入拡大が為替だけが要因でないことが分かる。

 品目別では、農産物のうち畜産品が牛肉を中心に堅調で、12%増の157億円だった。日本の畜産品の輸出先でベトナムは香港、米国に次ぎ3位に付けた。

 畜産品以外の農産物では植木などが34億円で76%増だった。日本の植木などの輸出先として、ベトナムは24年は中国を抜き最大だった。

 水産物では、イワシが数量で2.3倍の1337万キログラム、金額は2.2倍の15億円と大幅に伸びた。日本産イワシの輸出先でベトナムはタイに次ぐ。

 生鮮や冷蔵・冷凍のホタテは2934万キロ、106億円だった。ベトナムの日本産ホタテの輸入額は昨年は品目別で上位になく輸入実績は明らかでないが少なくとも金額ベースで10倍以上に増えた。24年は日本産ホタテの輸出全体の15%を占め、米国と台湾に次ぐ3位に浮上した。

 日本産ホタテの輸入増の背景には、中国の日本産水産物の禁輸措置がある。23年は禁輸措置が導入されるまでの期間に中国の日本産ホタテ輸入額は259億円に達し国別で最大だったが、24年はゼロだった。

 中国に輸入された日本産ホタテの3分の2は従来、殻むき加工されて米国などに再輸出されていたとされる。代替の委託先の開拓を迫られた日本の水産業界が、労働力が豊富で対米輸出の実績もあるベトナムの加工工場との取引を増やしたとみられる。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)もベトナムを新たな加工拠点として有望視しており、24年1月に業界関係者からなるベトナムへの団体視察を主催した。

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 ■日本産輸出、25年2兆円へ


 24年の日本産農林水産物の輸出総額は4%増の1兆5073億円だった。政府は25年に2兆円、30年に5兆円に拡大することを目指しており、伸び盛りのベトナムへの期待は大きい。農水省は22年にジェトロ・ホーチミン事務所に農林水産物の輸出促進を支援する窓口として「輸出支援プラットフォーム」を設置。現地のスーパーマーケットで日本産食品フェアを開催するなど販路開拓に取り組んでいる。

 河野氏は「ベトナムの景気は回復が続いており、日本食店の進出も拡大している。日本産品にとってはいい追い風が吹いている」として、対越輸出の拡大に期待を示した。(NNA

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