クエ入りの海鮮丼再び 「神守る島」宗像大島での出会い 眉村孝 作家
4年前の2月。福岡県で一番大きな島である宗像大島(福岡県宗像市)を訪れた私は、港で宗像市本土の神湊港へ帰る16時20分発のフェリーに乗るかどうか迷っていた。朝早くに大島へ渡った私は宗像大社中津宮など島の名所を歩き続け、お腹はペコペコだった。 この便を見送れば次は18時発。島で食事をする時間はできる...
身が引き締まり肉厚 対馬と言えば穴子 小島愛之助 日本離島センター専務理事
昨年12月に長崎県の対馬島を久方ぶりに訪問した。 釜山から約50㌔の距離にあるという韓国に近い島であるが故に、近年韓国からの観光客でにぎわい、2018年のピーク時には年間約41万人の韓国人観光客が訪れたという。 その後、日韓関係悪化の影響で韓国からの人流に陰りが見られ、加えて新型コロナウイルス感染...
繊維業とともに広がる? 奥が深いソースカツ丼 眉村孝 作家
昨年11月末。約11年ぶりに復旧したJR只見線に全線搭乗したあと、福島県の会津若松駅で列車を降り、とんかつ屋「かつ一」に向かった。目的はソースカツ丼。福岡や東京ではあまりお目にかからない。「ソースカツ丼はソウルフード」の声もある会津若松市へ着き、久しぶりに食べたくなったのだ。 待つこと十数分。出て...
豚骨は久留米から日田へ 来々軒の歴史 小川祥平 登山専門誌「のぼろ」編集長
「ここの屋台は解散。今からはラーメンを広めていこう」 白濁豚骨ラーメンを生みだした屋台「三九」(福岡県久留米市)創業者の杉野勝見さんはそう宣言した。この言葉がなければ、豚骨ラーメンが九州各地に広がることはなかったかもしれない。 宣言した相手は屋台で一緒に働いていた叔父、田中始さん。杉野さんは言葉通...
脂たっぷり肉厚の「黄金アジ」 巡り合った千葉・金谷産 眉村孝 作家
「ごめんね。今、終わっちゃったのよ」。11月半ばの平日の午後1時前。東京・八丁堀の路地にあるランチが評判の居酒屋を初めて訪れると、洗い物をしていた女性からこう告げられた。 人気の店だから仕方あるまい。踵を返し、近くでランチの店を探す。すると、同じ路地の奥にある「黄金アジフライ&ヒレカツ ¥950」...
熊本に広がった豚骨 四ケ所日出光さんの功績 小川祥平 登山専門誌「のぼろ」編...
九州中に豚骨ラーメンを広めた立役者を挙げるならば、次の2人だろう。白濁豚骨を生み出した屋台「三九(さんきゅう)」(福岡県久留米市)創業者の杉野勝見さんと、その屋台を継いだ四ケ所日出光(しかしょ・ひでみつ)さんだ。 久留米を離れた杉野さんは北九州市で「来々軒」を開業。親戚にも味を教え、大分県日田市に...
地域の「違い」楽しみたい 冬の食「おでん」「関東煮」 植原綾香 近代食文化研...
関東育ちの私にとって関西の食べ物は知らないことばかりだ。くるみ餅、ちょぼ焼き、ちりとり鍋など、これは何だろうと思うメニューを見つけると、どんなに便利になっても全国均一化されることのない食の差異に心が躍る。 そんな食いしん坊にとって、違いを楽しみたい冬の食におでんがある。おでんのルーツは諸説あるが、...
日本海の新鮮な魚に満足 糸魚川「地魚料理すし活」 眉村孝 作家
引き戸をがらがらと開け「ごめんください」と声をかけた。見知らぬ土地、そして初めて訪れるすし屋。緊張で、声が少しうわずった。いちげんさんに、よそよそしい態度で接するすし屋は少なくない。だが、大将らしき男性から返ってきた「いらっしゃい」の声は、想像していたよりずっと温かみがあった。 新潟県糸魚川市にあ...
広がらなかった白濁豚骨スープ 異端の鹿児島ラーメン 小川祥平 登山専門誌「の...
九州のラーメンの多くは豚骨誕生の地である福岡・久留米と関わりがある。発祥の店「南京千両」(久留米市)は、長崎のちゃんぽんも参考にして豚骨ラーメンを世に送り出した。白濁した豚骨スープを生みだしたのは西鉄久留米駅前にあった「三九」。その店主が軸となり、北九州、佐賀、大分、熊本、宮崎まで味が広がった。こ...