食べ物語

   

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カヌレ温故知新  畑中三応子 食文化研究家  連載「口福の源」の写真

カヌレ温故知新  畑中三応子 食文化研究家  連載「口福の源」

スイーツ界ではこの2、3年「カヌレ」人気が再燃している。 最初のブームは、1996年だった。90年代はティラミスを皮切りに、新種の菓子が現れては流行を繰り返した時代。東南アジア発祥のナタデココやタピオカも混じっていたため、〝洋菓子〟や〝ケーキ〟ではくくれなくなってしまった。そこで生まれたのが〝スイ...

甲州名物、ほうとうと富士  眉村孝 作家  連載「口福の源」の写真

甲州名物、ほうとうと富士  眉村孝 作家  連載「口福の源」

2月前半の3連休最終日の夕暮れ時。私と学生時代からの友人Tは、山梨県笛吹市の石和(いさわ)温泉街にある「甲州ほうとう小作(こさく)」ののれんをくぐった。 朝から寒風に当たりつつ、河口湖畔にある三ツ峠山(みつとうげやま)(標高1785メートル)を登ったため、体が芯から冷えている。時間が許すなら、温泉...

高知名産「山北みかん」  眉村孝 作家  連載「口福の源」の写真

高知名産「山北みかん」  眉村孝 作家  連載「口福の源」

正月休み。長女夫婦が1歳の長男K君を連れてわが家へ遊びに来た。まだ確かとはいえない足取りで家の中を探検するのが楽しいK君は、玄関からリビングへ、リビングからキッチンへと休みなく動き回る。いつの間にか、ミカン箱の中から小さめの温州ミカンを二つ取り出し、両手に握っていた。 そのまま握らせておくと、つめ...

草津の四川料理、再び  眉村孝 作家  連載「口福の源」の写真

草津の四川料理、再び  眉村孝 作家  連載「口福の源」

「草津温泉の四川料理のRが閉店だって」。母校の先輩であるSさんからLINEのメッセージが届いたのは2023年正月のことだ。私は「ええ! いつですか?」と反応する。Sさんからは「先月だと。草津の楽しみがなくなってしまった」と返ってきた。 8年ほど前から母校の同窓生グループで草津温泉へ旅するようになっ...

震災と釜石の居酒屋  眉村孝 作家  連載「口福の源」の写真

震災と釜石の居酒屋  眉村孝 作家  連載「口福の源」

「ごめんね。海がしけてるので、大したものがないのよ。それでもよいのなら」。JR釜石駅(岩手県釜石市)近くにある居酒屋「とんぼ」ののれんをくぐると、女将(おかみ)からカウンター越しに声をかけられた。9月8日午後8時過ぎのことだ。 その日は埼玉県内の自宅を早朝に出て、東北新幹線、JR八戸線と乗り継ぎ、...

八戸のヒラメに舌鼓」  眉村孝 作家  連載「口福の源」の写真

八戸のヒラメに舌鼓」  眉村孝 作家  連載「口福の源」

9月8日金曜日の9時43分。JR八戸線の普通列車が陸奥湊(むつみなと)駅に着くと、私は足早に改札口を出て「みなと食堂」をめざした。八戸港の近くで道には魚介や生鮮の店が並ぶ。物珍しげに見回していると、同じ列車に乗っていた女性2人組に抜かれた。うかうかしてはいられない。 食堂へ到着すると小さな店の中は...

川霧と温泉と田舎料理  眉村孝 作家  連載「口福の源」の写真

川霧と温泉と田舎料理  眉村孝 作家  連載「口福の源」

8月初めの夕暮れ時。私は福島県三島町、JR只見線が只見川を渡る第二只見川橋梁のそばで、橋や川面を眺めていた。 尾瀬ケ原を水源とする只見川は水量が豊かで、元々の流れは急だ。だが現在は発電を目的とした大小10以上のダムがある。三島町付近の只見川は、ダムが近いため湖のように穏やかで、木々や青い空、只見線...

明治の若者も牛肉大好き  畑中三応子 食文化研究家  連載「口福の源」の写真

明治の若者も牛肉大好き  畑中三応子 食文化研究家  連載「口福の源」

NHKの朝ドラ「らんまん」で、主人公の槙野万太郎は、うれしいことがあると仲間と牛鍋を食べに行く。 初めて行ったのは、1回目の上京時。牛肉自体が初体験で、同行の竹雄とグツグツ煮える牛鍋を緊張の面持ちで見つめ、こわごわ口に入れるや「うまいー」「甘くてたまらん」「口んなかで溶けた」と感激し、のけぞる様子...

自作推し「カポナータ」  眉村孝 作家  連載「口福の源」の写真

自作推し「カポナータ」  眉村孝 作家  連載「口福の源」

40歳を前にして初めて単身赴任が決まったとき、日々の生活についていくつか決心をした。そのうちの一つが「コンビニ弁当は食べまい」。ランニングやスポーツを続けてはいたが、記者を20年近く続けた身体は少しずつガタがきている。周りには、地方転勤で食生活を乱し、恐ろしく「成長」したり、体調を崩したりする人が...