食べ物語

   

グルメ

群馬・下仁田に豚すき焼きの名店  特産のポーク、ネギ味わう  眉村孝 作家の写真

群馬・下仁田に豚すき焼きの名店  特産のポーク、ネギ味わう  眉村孝 作家

今から10年ほど前のこと。私は親しくなった群馬県下仁田町役場の職員にこんな話題を持ちかけた。「下仁田町には強い特産品があるのに、手軽に味わえる飲食店が少ないのでは」 町には抜群の知名度を誇る「下仁田ネギ」がある。白根の長さが15~20㌢と短く、太さが5センチほどもある。火を通すと独特の甘みととろみ...

横浜の影響受けた九州ラーメン  豚骨発祥の久留米「南京千両」  小川祥平 西日本新聞社出版グループの写真

横浜の影響受けた九州ラーメン  豚骨発祥の久留米「南京千両」  小川祥平 西日本...

ラーメンの始まりについては諸説あるが、明治30年代頃に、横浜の南京街(現在の中華街)で食べられていたのは間違いないようだ。横浜生まれの劇作家、長谷川伸(1884~1963年)は自伝「ある市井の徒」で、若き日の思い出の味を記し、その中に「ラウメン」が登場する。 〈ラウメンは細く刻んだ豚肉を煮たのと薄...

先輩と食べた生サバ  「ごまさば」と「ゴマサバ」    眉村孝 作家の写真

先輩と食べた生サバ  「ごまさば」と「ゴマサバ」    眉村孝 作家

「博多は初めてなのか。それなら同窓生に声をかけるから、博多駅近くの『はじめの一歩』という海鮮居酒屋に行こう。ゴマサバがうまい店だから」 2000年代半ばのこと。私は福岡市を訪れることが決まると、北九州市在住の学校の先輩Fさんに電話した。10歳も上だが、ふとしたきっかけで知り合うと時々声をかけてくれ...

作り置きしない人のために  魔法の調味料でおいしく  タカコナカムラ ホールフード協会代表理事の写真

作り置きしない人のために  魔法の調味料でおいしく  タカコナカムラ ホールフー...

今年のノーベル物理学賞に選ばれた真鍋淑郎さんが、インタビューで「日本料理で何が食べたいですか」と問われ、「おいしい料理とそれに合うお酒があればいい」とお答えになり、私と同じ意見、と猛烈に親しみを感じてしまいました。 四季折々の旬の食材とそれに合う酒を夫婦で飲み、いい音楽でもあれば、最高。こんな日常...

「ピンス」で猛暑乗り切る  韓国のかき氷は大盛り  平井久志 ジャーナリストの写真

「ピンス」で猛暑乗り切る  韓国のかき氷は大盛り  平井久志 ジャーナリスト

韓国で14年ぶりに生活しているが、今年の夏が一番きつかったように思う。過ぎた韓国の夏を想いながら、お世話になったのは「ピンス」だなあと思った。漢字では「氷水」と書くが、韓国の「かき氷」だ。 日本の「かき氷」と何が違うのかと言うと、日本のかき氷は荒く削るが、韓国のピンスはもっと細かく削る。それで、雪...

生産者を敬って進む  ワイン商としての道  石田敦子 エノテカバイヤーの写真

生産者を敬って進む  ワイン商としての道  石田敦子 エノテカバイヤー

ワインのボトルにはたくさんのドラマが詰まっている。 ワイン商として、その魅力を伝えることは私たちの最大のミッションであるが、ワインビジネスそのものにも人生の哲学を学ぶ場面があふれていて、生産者たちからはもちろん、エノテカ創立者であり、私にとっては育ての父ともいえる廣瀬恭久会長からも多くを学んでいる...

スパイスカレーに熱視線  コメと好相性、自由に創作  畑中三応子 食文化研究家の写真

スパイスカレーに熱視線  コメと好相性、自由に創作  畑中三応子 食文化研究家

日本ではじめてカレーのレシピを掲載した「西洋料理通」と「西洋料理指南」は、西洋料理という語を題名に冠した最初の料理書でもある。刊行はともに1872(明治5)年、前者の著者は戯作者でジャーナリストの仮名垣魯文、後者は敬学堂主人。実質的には両方とも欧米の料理書から直訳した内容だ。最初期のカレーの特徴は...

ちらしずしで家族だんらん  コロナ禍でこそ家庭の味を  タカコナカムラ ホールフード協会代表理事の写真

ちらしずしで家族だんらん  コロナ禍でこそ家庭の味を  タカコナカムラ ホールフ...

コロナ禍で入学式や歓送迎会も自由にはやれない2021年春。かつてはお祝い事や家族・親族が集まった時に食べる特別な料理が、ちらしずしでした。 私が子供の頃には、ちらしずしが食卓に並ぶだけでテンションが上がり、どこの家庭でもおもてなし料理として楽しまれていました。 歴史、風土を背景に 全国各地には「ご...

春到来、花を食す  山下弘太郎 キッコーマン 国際食文化研究センターの写真

春到来、花を食す  山下弘太郎 キッコーマン 国際食文化研究センター

(写真はイメージ) 今年もはや3月弥生になり春の訪れを感じます。朝の通勤で小さな変化がありました。車窓から眺める江戸川の土手が菜の花の黄色に染まり始めました。 そういえば先日は、菜の花のおひたしが夕食に登場しました。菜の花が食用として登場するのは意外に古く、飛鳥時代には花芽が食用にされたという記録が...