芋、栗、南京、焼き芋サラダ 藤野嘉子 料理研究家 連載「口福の源」
「石焼き〜芋」と路地から聞こえる威勢のいい声に、子ども心が躍った。そんな時代に育った私ですが、最近はめっきりとみられなくなりました。懐かしい思い出です。 今では、スーパーの店先でいつでも買える焼き芋ですが、専門店もあり、芋の種類も豊富。焼き芋を使ったデザートまで、いろいろ楽しめる時代になりました。...
「白」と「緑」の二大競演 藤野嘉子 料理研究家 連載「口福の源」
新緑の季節には食べなくてはいけないものがあります。青々しく、そしてたけだけしい。天に向かって真っすぐに伸びる、そんなに偉そうでもないのですが「アスパラガス」という野菜です。アスパラガスには、ホワイトとグリーンがあります。日本ではグリーンばかりよく見かけますが、ヨーロッパでは野菜の主役、メイン料理に...
春野菜たっぷり「沢煮椀」 藤野嘉子 料理研究家 連載「口福の源」
春になると、春野菜たちがたくさん出回ります。最近、季節感を野菜で感じるのは難しいといわれますが、それでも春は新タマネギ、新キャベツ、新ゴボウ、新ニンジン、そして新タケノコ。 なんでも「新」を付けたらいい、というくらいです。 その春野菜を束ねた、おいしい「沢煮椀(さわにわん)」という汁ものがあります...
高知名産「山北みかん」 眉村孝 作家 連載「口福の源」
正月休み。長女夫婦が1歳の長男K君を連れてわが家へ遊びに来た。まだ確かとはいえない足取りで家の中を探検するのが楽しいK君は、玄関からリビングへ、リビングからキッチンへと休みなく動き回る。いつの間にか、ミカン箱の中から小さめの温州ミカンを二つ取り出し、両手に握っていた。 そのまま握らせておくと、つめ...
草津の四川料理、再び 眉村孝 作家 連載「口福の源」
「草津温泉の四川料理のRが閉店だって」。母校の先輩であるSさんからLINEのメッセージが届いたのは2023年正月のことだ。私は「ええ! いつですか?」と反応する。Sさんからは「先月だと。草津の楽しみがなくなってしまった」と返ってきた。 8年ほど前から母校の同窓生グループで草津温泉へ旅するようになっ...
市場めしより「てっぺん」 眉村孝 作家 連載「口福の源」
6月初め、急な仕事で札幌へ出張した。宿を探していて見つけたのが、市民の台所「二条市場」に近いホテルだ。市場の場所は、札幌市中央区の大通公園の南東側。明治初期、石狩浜の漁師が川を上って札幌へ入り、鮮魚などを販売したことが始まりだという。 私には「市場での食事=市場めし」に惹(ひ)かれる傾向がある。初...
3年トラフグ、沼島でも 小島愛之助 日本離島センター専務理事 連載「口福の源...
沼島は、淡路島の南4.6キロの紀伊水道北西部に浮かぶ離島であり、兵庫県南あわじ市に属している。面積2.71平方キロ、周囲9.53キロに、202世帯、392人(2022年12月末現在)が暮らしている。公共交通機関によるアクセスは、神戸三宮から高速バス(1時間30分)とコミュニティーバス(1時間)を乗...
越前はセイコ、ガサエビ 眉村孝 作家 連載「口福の源」
「福井県といえば越前ガニ(オスのズワイガニ)」。若いころ、私はそんなイメージを抱いていた。埼玉生まれの私は長く福井を訪れたことがなかった。ただ関西在住の友人からは「冬には福井に越前ガニを食べに行く」という話をよく聞いたので、そんな印象を抱いたのだろう。 初めて「福井で越前ガニ」の機会が訪れたのは8...
クエ入りの海鮮丼再び 「神守る島」宗像大島での出会い 眉村孝 作家
4年前の2月。福岡県で一番大きな島である宗像大島(福岡県宗像市)を訪れた私は、港で宗像市本土の神湊港へ帰る16時20分発のフェリーに乗るかどうか迷っていた。朝早くに大島へ渡った私は宗像大社中津宮など島の名所を歩き続け、お腹はペコペコだった。 この便を見送れば次は18時発。島で食事をする時間はできる...