新たなアーバンファーミングの実証実験開始 NTT東日本、プランティオ、タニタが協業
2023.07.26
(協業の中枢を担うセンサー)
NTT東日本、プランティオ、タニタの3社は7月26日、スマート農業を活用した新たなアーバンファーミング(都市型農)を事業化すると発表した。8月から来年3月末まで、タニタ本社(東京都板橋区前野町)敷地内に設けた農場で実証実験を始める。
アーバンファーミングは、地産地消、旬産旬消を実践できる農業として欧米の大都市などで普及してきた。新鮮な野菜を低い環境負荷で供給できるだけでなく、コミュニティーの形成、緑化、生物多様性の維持、防災機能など都市型農業特有の多面的機能を発揮できる。
3社の協業は、NTT東日本の情報通信技術(ICT)を活用した営農支援、プランティオのインターネットで機器を接続して相互に情報をやりとりするIoTを活用した農園運用、タニタの健康づくりや食の知見を組み合わせることで、デジタル技術を活用した新たなアーバンファーミングを開発し事業化するのが狙い。
実験の中枢を担うのは、スタートアップ企業であるプランティオが開発したセンサー「grow CONNECT(グロウコネクト)」。500ccのペットボトルほどのサイズだが、土壌温度計を内蔵して積算温度を遠隔モニタリングでき、天候データと対比して予測する人工知能(AI)技術を使って、必要な農作業を適時に助言・支援する。
(26日に公開された実験農場で、専用アプリ「grow GO」を説明するプランティオの芹澤孝悦代表取締役CEO)
住宅街の中にある実験農場の「タニタふれあい農園」は32㎡(土壌部分)だが、トマトやトウモロコシなど約20品目を栽培している。生ゴミを堆肥化するコンポストを備え、すべて在来の固定種で自家採種するなど循環型社会を踏まえているという。
(タニタ提供)
タニタの冨増俊介ブランディング推進部長は、農作業に関わる意義として「意識的に運動しなくて日常生活の中で体を動かし健康につながる」と説明した。また、新たなアーバンファーミングの事業化の課題として、NTT東日本ビジネス開発本部の仲野陽介課長は「いかに(利用者側の)コミュニティーを形成していくかだ」と指摘した。
(協業3社の担当者、左から冨増部長、仲野課長、芹澤CEO)
最新記事
-
訪日年間3500万人視野 週間ニュースダイジェスト(7月14日~7月...
▼大型マグロ漁獲枠1.5倍 日本8421トンで国際合意(7月16日) 太平洋クロマグロの資源管理を...
-
水産資源回復を! 料理界が国に提言 佐々木ひろこ フードジャーナリス...
私たち「シェフス・フォー・ザ・ブルー」は先の5月、チームで東京・霞が関にある農林水産省を訪れた。水...
-
食品ロス半減目標達成? 野々村真希 農学博士 連載「口福の源」
6月に政府から、日本の食品ロスの発生量の最新値が発表された。2022年度の推計値であり、食品関連事...
-
観光の高付加価値化 森下晶美 東洋大学国際観光学部教授 連載「よ...
インバウント旅行の回復が本格化している。5月単月のインバウント旅行者数は304万人、8カ月連続でコ...
-
【マーケットリポート】中国の栄養保健機能食品市場(前編) NNA
今回と次回の2回に分け、中国における栄養保健機能食品市場を見ていく。ここで取り上げる栄養保健機能食...
-
クマ銃猟、市街地も可能に 週間ニュースダイジェスト(7月7日~13日...
▼東京都知事に小池氏3選 石丸伸、蓮舫氏ら破る(7月7日) 任期満了に伴う東京都知事選は7日投開票...
-
農村撤退の分岐点 復旧遅れる能登半島 アグリラボ編集長コラム
年初の震災から半年余り、7月10日に輪島市中心部から南へ約1キロメートルの商業施設「ワイプラザ輪島...
-
消費者は、食料・農政のチェック役に 小視曽四郎 農政ジャーナリスト ...
5月29日の参院本会議で可決、成立し、6月5日施行となった改正食料・農業・農村基本法。食料安全保障...
-
歩行者の安全性を意識したまちに 藤波匠 日本総合研究所調査部上席主任...
長期にわたり減少トレンドであった交通事故件数が、ここ3年ほど下げ止まっています。 警察庁によれば、...
-
ヤンマー、フィリピンで水田メタン削減の実証試験 NNA
ヤンマーホールディングスは6月28日、フィリピンの水田由来のメタンを削減する取り組みで、環境スター...