修士課程でアグロエコロジー学ぶ 福島大学大学院、食農科学研究科スタート
2023.04.04
福島大学の大学院に新設された食農科学研究科が、4月4日開講した。日本の大学院で初めて農業生態学(アグロエコロジー)の履修プログラムを備えており、環境との調和を目指す持続可能な農業のありかたや技術を研究する。
同日、入学式(写真上)が開かれ、学部から進学した30人、社会人13人ら計45人(写真下)の1期生が研究を始めた。定員の20人を大幅に超え、特に設置構想で重視した社会人からの応募が多く、現役の農家4人のほか全国農業協同組合中央会(JA全中)副会長の菅野孝志・JA福島中央会最高顧問も入学した。
食農科学研究科長の荒井聡教授は「福島の再生にはより高度な研究が必要で、(大学院研究科の新設は)地元からも強い要望があった。食農の課題の解決に役立つ高度な人材が育ってほしい」と新入生を歓迎した。
菅野孝志さん(写真下)は「農業や地域がもっと良くなるように農業経営を学び、農業協同組合が地域で重要な役割を果たしていることを実証したい。データを集めて修士論文を書きたい」と述べた。
福島県南相馬市で無農薬・減農薬の米や野菜を栽培していて東日本大震災で被災した三浦広志・合同会社井川田コモンズ代表は「大学院で学ぶことを現場の農場に還元したい」と抱負を語った。大麦など畑作を営む鈴木將之さん(札幌)ら遠隔地からも3人が入学した。
日本の国立大学の修士課程としては初めてアグロエコロジーを履修プログラムとして位置付け、担当する食農学類生産環境学コース長の金子信博教授は「欧米では(環境政策と融合する)グリーン化が進み、農林水産省もみどりの食料システム戦略を策定したが、日本の研究は遅れている。さらに知性を磨いてほしい」と1期生にエールを送った。
(キャンパスに隣接するアグロエコロジー研究の試験農場)
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