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復興支える民宿の女将と若者描く  ドキュメンタリー「ただいま、つなかん」公開へ

2022.11.19

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復興支える民宿の女将と若者描く  ドキュメンタリー「ただいま、つなかん」公開への写真

 宮城県気仙沼市の民宿を舞台に、東日本大震災からの10年余りを描いたドキュメンタリー映画「ただいま、つなかん」(風間研一監督)が完成、2023年2月下旬からポレポレ東中野(東京都中野区)、フォーラム仙台(仙台市)など、全国で順次公開される。

 気仙沼市はカキなどの養殖、遠洋漁業、水産加工業で栄えてきた。特に唐桑半島には遠洋マグロ漁が最盛期だった時期に、「唐桑御殿」と呼ばれる入母屋の屋根を釉瓦でふいた、豪華な家屋が競うように建てられた。
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(ⓒ2023 bunkakobo/ⓒ鈴木盛男:宮城県気仙沼市唐桑町鮪立の鮪立湾=震災前)


 そんな唐桑も、大震災で壊滅的な被害を受けた。約100年続くカキ養殖を営む菅野和享さん・一代さん夫妻は、津波で被災した自宅を補修し、学生ボランティアの拠点として開放した。その後「皆がいつでも帰ってこられるように」という思いから民宿を兼営し、マグロ(ツナ)と夫妻の名字「かんの」から、「つなかん」と呼ばれるようになった。

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(ⓒ2023 bunkakobo:映画の舞台の民宿・唐桑御殿つなかん)


 映画は、明るい性格で皆から慕われる女将・一代さんと学生ボランティアだった若者たちの交流を描く。優しさと非情の両極端をみせる海、それと共存して生き抜いていく漁村の人々、移住してくる若者たちの可能性と新たな命を通じて、登場人物の交流だけではなく、世代、地域、自然、文化、希望と絶望などさまざまな「交流」を考えさせるドキュメンタリーだ。

 監督の風間研一さんは、震災当時にテレビ局のディレクターとして現地で取材・報道し、その後も10年以上現地の取材と人々とのを続け、初監督として本作にまとめた。語りは気仙沼を頻繁に訪れ、菅野さんとも交流が深い俳優の渡辺謙さんが担当した。上映館は映画の公式サイトなどで。

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