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「研究紹介」 地理的表示保護による価格効果を検証  農林水産政策研究所

2021.02.13

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 地理的表示保護(GI)は、日本では2015年に制度化され、21年1月6日現在で104の地域ブランド産品が登録されている。「日本ワイン」もGIの対象だ。この制度は実際に価格を上昇させる効果があるのか。

 農林水産政策研究所の八木浩平研究員の「地理的表示保護制度への登録が価格に与える影響の分析」は「くまもと県産い草畳を対象に、GI制度登録による価格上昇効果を検証している。畳表に着目した点がとてもユニークだ。

 食品と異なり原産地表示が義務化されていないため、安価な中国などからの輸入品との競争が激しく、GIと価格の相関関係が鮮明だ。品質や規格が異なる16種類の畳表の価格を分析したところ、価格の上昇傾向を確認できたとしている。

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 このほか、農林水産政策研究所レビュー(No99=21年1月)は、全国に42校ある道府県農業大学校を対象とした実態調査「道府県農業大学校に求められる新たな役割と機能」の概要を掲載している。

 入校者総数は年2000人弱で横ばい、定員充足率も80%程度を維持しているが、非農家出身の入校生が増加し6割を占めること、卒業生の進路は雇用就農が自営就農を上回る傾向が加速していることなど、興味深い内容だ。

 「農家子弟の後継者確保」という教育理念が根強く残っているが、学生の質の変化や進路の多様化に対応するよう教育カリキュラムの見直しが必要と示唆している。


  また、藤原辰史客員研究員による2020年10月20日のWeb講演会「コロナ新時代の食と農の思想」について、藤田義紀調査官が講演概要を要領良くまとめている。