映画「山里は持続可能な世界だった」が完成 9月6日公開 原村政樹監督
2024.07.19

人口減少が急激に進む山村で暮らす人々の声を丹念にすくいあげたドキュメンタリー映画「山里は持続可能な世界だった」(原村政樹監督)が完成し、2024年9月6日から19日まで「ヒューマントラストシネマ有楽町」で公開する。
「無音の叫び声」、「武蔵野」、「タネは誰のもの」など農業・農村を扱う作品を40年近く撮り続けてきた原村監督が「これまでの集大成」と語る14作目は、山里がにぎわい、輝いていた高度成長期前の白黒写真を織り交ぜ、これまでとは異色の構成になっている。
村人たちが助け合いながら自然を壊さないで生きてきた姿と、貧富の格差が拡大し環境が破壊されている現代を対比させることで、「真の豊かさとは何か」を問いかける。
埼玉県の飯能市、秩父市、小鹿野町、長瀞町、東秩父村、群馬県安中市、福島県三島町を舞台に、鍛冶屋、炭焼き、養蚕農家、伝統林業、生活雑貨作り、原木シイタケなどの生業(なりわい)を続け、山里を守ってきた村人たちが主人公だ。
かれらの口からは、人間とは何か、生きるとは何かを感じさせる素朴な言葉が、ぽろりとこぼれる。固定するのが簡易な針金を使わず竹箒(ほうき)を作る男性は「コスパって、ない」とつぶやく。ブドウのつるで篭(かご)を編む職人は「風雪に耐えて育ったもので大事に作って大事に使う」と語る。3代続く鍛冶屋の親子は、大手ホームセンターから2000個もの農機具を受注するが「買い替えが進むように壊れやすく」と指示を受け、「ふざけるな」と断る。
作業は厳しく収入は乏しくても、彼らには誇りがあり、めぐみをもたらしてくれる自然に対する尊敬と感謝を忘れない。原村監督は「これが知性だ」と言う。
映画の冒頭「おれたちは置いてきぼりにされた」と吐露する村人が登場する。その一方、山里で生業を継ぐ若者たちが次々と登場する。域外から移住してくる若者もいる。真の豊かさに気が付いている感性豊かな彼らの生き生きとした姿は、山里、そして日本の将来に向けた希望だ。
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