農業ジャーナリスト賞に「「行商がつなぐもの」など4作品 地域の姿を密着報道
2024.06.04
農政ジャーナリストの会は6月4日、東京都内で年次総会を開き、さくらんぼテレビジョン(山形市)の「行商がつなぐもの~地方創生の未来とは~」など4作品に、第39回農業ジャーナリスト賞を授賞した(写真)。
選考委員を代表して榊田みどり明治大学客員教授が「人に焦点を当て、地域の歴史や人のつながりを深掘りする作品が多いのが印象的だった。政府が推進している経営の大規模化、法人化や輸出促進に対する静かなアンチテーゼだと思う。活字部門からの応募が少なく、地方紙に期待したい」と評した。
同委員の大村美香朝日新聞記者は「普段は生産現場に対する想像がわかないが、受賞作には生産現場にいる人の息づかいが映されている」と感想を語った。
「行商がつなぐもの」は、高齢化が進む山形県西川町を舞台に、鮮魚の行商人が町のお年寄りの心の支えとなっている姿を伝える内容。制作者を代表して高橋信太郎主任は授賞式で「地方創生とは何かという疑問があった。高齢化が進む中でデジタル化から取り残される人を行商人がつなぐ役割を果たしている」と述べた。
このほか、戦後の開拓民である祖父のダイコン畑を引き継ぐ孫の姿を描いた「はじまりの魂、心に宿して~四国カルスト開拓民と孫の1年~」(NHK松山放送局)、自然農法を提唱した福岡正信氏の農園を受け継ぐ子孫や弟子を2年以上にわたり撮影を続けた「ハッピーヒル 自然農園 四季ものがたり」(同)、埼玉県東秩父村に移住した3人の若者たちを3年以上密着取材したドキュメンタリー映画「若者は山里をめざす」(原村政樹監督)が受賞した。
また特別賞に、通信アプリ「LINE」を活用した読者との双方向型の調査報道「農家の特報班(のうとく)」(日本農業新聞社)が選ばれた。2023年に発表された農林水産業、食料、農山漁村地域などに関する14点から選んだ。
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