農林中金、1.2兆円の資本増強へ 25年3月期、5千億円超の赤字で
2024.05.22
農林中央金庫の奥和登理事長(写真左)は22日、東京都内で記者会見し、1兆2千億円規模の増資を検討中であることを明らかにした。会員の農業協同組合(JA)などと協議を始めた。米国の金利上昇を受けて外国債券を中心に含み損が膨らみ、来年(2025年)3月期の連結純損益について「5000億円を下回らない赤字になる」(奥理事長)見通しだ。
農林中金の市場運用資産残高は3月末時点で約56兆円。米国債などの外債が大半を占めている。リーマン・ショックの時に証券化商品の投資で巨額の赤字を計上したのとは異なり、元本は確保されているが利回りが低い。奥理事長は「財務、ポートフォリオをもう一度動かして挑戦していくべきタイミング」と説明、低収益の債券を売却して一時的に大幅な赤字を計上しても、新たな資産に投資した方が、収益が改善するという戦略を示した。
奥理事長は「想定を超える(米国の)金利の引き上げだった」と背景を説明した上で、「(巨額赤字の)責任は痛感している。職務を遂行し難局を乗り切ることで責任を果たしたい」と、続投する意向を示した。「会員の期待をはるかに下回ったことに非常に責任を感じている。(自らの)報酬の減額はもちろんする。理事会全員で対処する」と述べた。
増資は、転換条項が付いている7000億円の劣後ローンを中核的資本(CET1)に振り替え、さらに5000億円の劣後ローンによって調達する方針。奥理事長は「会員からすると期待を下回る、あるいは裏切る話だ。厳しい意見も多くいただいている。この先、理解を深めていただけるように努力している」と述べた。同日に発表した24年3月期連結決算は、純利益が前期比24・8%増の636億円だった。
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