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釣って学べる、魚の魅力  中川めぐみ ウオー代表取締役  連載「グリーン&ブルー」

2024.06.03

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釣って学べる、魚の魅力  中川めぐみ ウオー代表取締役  連載「グリーン&ブルー」の写真

 「釣りは、漁業活性の一因になり得るのではないか」。今回は私のこんな仮説にお付き合いください。要は「釣りを通して魚の魅力が伝われば、もっと食べたくなる=買いたくなる=漁業が元気になる!(のではないか)」という、お話です。

 日本では近年、魚食離れが深刻な課題になっています。水産庁によると、国内魚介類の1人1年当たりの消費量は2001年度の40・2キロをピークに減り続け、21年度には23・2キロにまで減少しました。その原因はさまざまですが、要するに"コスパ・タイパが合わない"という声が多いように感じます。そこで何とか価格(コスト)や簡便さ(タイム)を生活者の要望に合わせようと、漁業・流通・販売など各所で努力をされているのですが、ここで本流とは違う角度からも魅力(パフォーマンス)を上げられないかと提案したいのが「釣り」なのです。

 釣りを通して実感できる魚の魅力はいくつもあります。

 まずは「旬」。釣りに行くとなると、「いま釣れるのは(おいしいのは)何だろう」と自然に旬を意識するようになります。また同じ魚を同じ場所で釣っても季節によって脂のノリが違っていたり、冬に肝を食すものと思っていた魚が実は夏に身がおいしかったりと、楽しい学びも多くあります。

 次に「魚種の多様さ」。私は各地へ釣りに行きますが、例えば、東京湾だけでもアジ・サバ・カワハギ・タチウオ・タコ・カサゴ・アナゴ・キス・フグ・マゴチなどさまざまな魚を釣っています。そんなに多様な魚が東京湾にいるの? と驚かれますが、これでもごく一部。東京湾はもちろん、日本はまさに"おさかな天国"で、食べられる魚種だけで500ほどが生息しているのです。

 そして「おいしさ」。やはり釣りたての魚は鮮度やパワーが違います。これまでに数百人を釣りデビューさせてきましたが、「釣った魚を食べたら、魚嫌いが魚好きになった」という例を何度も見てきました。魚は臭いしおいしくないと誤解していた人が、自らおかわりする瞬間に立ち会えると、こちらまでうれしくなります。

 他にも海業の観点などから伝えたい魅力はたくさんあるのですが、紙幅の都合で今回はここまで。

 こうして釣りをきっかけに魚の魅力を知った人たちの一定数が次に起こす行動が、「魚屋さんに行く」「通販で漁師さんから魚を買う」「丸魚を買う」など、日常生活においしい魚を取り入れることです。釣りはたまにしか行けないけれど、おいしい魚を買うことは日常でもできる。こんなぜいたくや楽しみがあることに気付いてなかった! なんてうれしい後日談を釣りデビューさせた方からよく伺います。

 時には対立することもある釣りと漁業ですが、実は活性化し合うことができるのでは? 夏に向けて釣りの相談を各所からいただく私が、改めて思うことでした。

(Kyodo Weekly・政経週報 2024年5月20日号掲載)

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