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日本産ワインに続け  米国で清酒市場拡大へ

2023.11.13

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日本産ワインに続け  米国で清酒市場拡大への写真

 ユズやレモンといった果物などで味付けしたSAKE(清酒)の「フレーバード・サケ」が米国でじわりと広がっている。米国で清酒は依然〝ニッチ商品〟と見られており、口当たりが良いフレーバード・サケを手に取ってもらうことで「本格的なSAKEに興味を持ってもらえる突破口になる」(米酒造会社幹部)と期待している。

 2013年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された和食の人気も追い風になり、輸入日本酒を含めた米国の清酒市場は新型コロナウイルス流行前までは成長が続いていた。

 業界団体「北米酒蔵同業組合」のウェストン小西代表は米国とカナダ、メキシコで計20を超える清酒醸造会社があるとして「もともと地ビールを造っていた醸造会社が日本酒に興味を持って転換した場合が多く、北米の清酒市場を押し上げている」と話す。

 ただ、日本の国税庁の推計によると20年の米国での清酒市場は4億200万ドル(約600億円)と酒類別シェアの0.2%にとどまる。日本酒「獺祭(だっさい)」を手がける旭酒造の桜井一宏社長は「まだまだ米国人にとって日本酒は〝よそ者〟だ」と指摘する。

 米国の清酒市場拡大の一翼を担うと期待されているのが、親しみやすい味わいのフレーバード・サケだ。米南部ノースカロライナ州の「ベンズ・アメリカン・サケ」では、ユズやミカンのジュースで味付けしたユ・タング355ミリリットル缶の売れ行きが好調だ。かんきつの爽やかな味と香りが特色で、醸造責任者のパトリック・シーラーさんは「19年に夏限定の予定で売り出したところ好評だったため通年販売となり、当社のベストセラー商品に育った」と胸を張る。アルコール度数を6.5%に抑え、オンライン通販価格は6ドル。

 南部バージニア州の「ノースアメリカン・サケ・ブリュワリー」の商品、サイコー(355ミリリットル缶、6.99ドル)は、清酒にユズとミント、レモンを加えた。商品名は日本語の「最高」に由来する。

 西部ユタ州の「ツキ・サケ」は、白桃のピューレをブレンドした純米吟醸酒(750ミリリットル瓶=写真)を29・99ドルで販売。ハワイ州の「アイランダー・サケ」ではリリコイと呼ばれるパッションフルーツ風味の純米吟醸酒(375ミリリットル瓶、19.50ドル)の売れ行きが堅調だ。高知市出身の弘瀬隆司副社長は「地元産のパッションフルーツを搾ったジュースを、酒の味がしっかりする割合になるように入れている」と説明する。

 弘瀬氏は「おいしい国産ワインが造られるようになってから日本のワイン輸入量が増えたように、米国の清酒市場も地元産のレベルが上がればより増える」と話し、高品質の米国産商品が広がることが市場拡大の鍵を握るとの見方を示した。

<共同通信ワシントン支局次長 大塚 圭一郎>

(Kyodo Weekly・政経週報 2023年10月30日号掲載)

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