2040年に国内生産が危機 「113万㏊の耕地死守」と提言 三菱総研
2023.07.29
(2050年までの主食穀物需要・国内生産・ギャップの成り行き推計、単位:万トン=各種統計から三菱総合研究所作成)
株式会社三菱総合研究所は、提言「食料安全保障の長期ビジョン 2050年の主食をどう確保するか」を公表した。その中で、主食穀物(米・小麦)の食料安全保障上のリスクについて「短期的には大きくはない」とし、中長期的な課題として位置付けた上で、主食穀物の国内生産と国内需要について2050年までを推計した。
国内需要は、人口の減少などで2020年と比べて2050年には約7割に減少する。一方で国内生産は、主にコメを生産する高齢農家の離農が進むため約4割まで減少する。この結果、需給ギャップ(不足分)は2040年に最大化し、現状(約500万トン)から約700万トンに拡大し「2040年に向けて国内生産が危機的になる」と警告している。
特に主食用米は「自給すらままならなくなる」と、輸入の増加に警鐘を鳴らしている。主要穀物の輸入への依存を現状レベルで維持するためには、113万㏊の耕地を維持する必要があると試算し、「これを死守すべきラインとするべきである」と強調、「大規模農家(耕地面積30ha以上)だけではなく、中規模農家(10ha~30㏊)による経営耕地を増やしていくことが求められる」と提言した。
対応の方向性としては、中規模・大規模農家の耕地を維持拡大するための一層の耕地集約や、人口減下での労働力の確保、経営人材の育成に官民で取り組むことが重要だと指摘した。
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