「食 X アニメ」コラボの効果は? JFOODO、米国とフランスで調査
2023.03.01
日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)は、農産物や食品などの輸出を促進する上で日本のアニメーション文化が果たす可能性を探るため、米国とフランスでインタビュー調査を実施した。
それによると、「食」と「アニメコンテンツ」を適切に組み合わせて発信すると、日本産品の農林水産物や食品の価値を高めることに効果があると見込まれ、海外市場における新たな需要を創出する可能性を期待できる。
具体的には、アニメや漫画に登場する食のシーンを通じて日本の食材やレシピへの関心が高まり、実際に日本食を体験する潜在力になっている。食品にキャラクターを使うなどの販売促進も既に菓子類など一部で始まっている。特にフランスでは日本の漫画やアニメがいち早く浸透しており、包丁など調理器具まで踏み込んだ食文化の浸透を期待できる。一方、アニメコンテンツの知的財産権の管理が複雑で、海外ライセンスの一本化などの課題も明らかになった。
調査は、ロサンゼルスとパリに在住するアニメビジネスなど娯楽産業、知的財産権、市場調査の専門家、漫画家、オンライン漫画配信の事業者ら6人を対象に昨年末から今年初めにかけて、現地の事情を聞き取った。
調査内容は北川浩伸JFOODO執行役(写真中央)が3月1日、「FStudio SHIBUYA」(東京・渋谷)で報告し、併せて一般社団法人アニメジャパン副理事長の夏目公一朗・アニプレックス元社長(写真右)と公開対談した。
夏目副理事長は、「日本のアニメコンテンツはもはやサブカルチャーではなく、メインカルチャーとして世界同時のマーケティングで一挙に普及が拡大しており、戦略的に仕掛ける必要がある」と指摘、北川執行役は「シナジー効果の起爆剤として期待でき、リアル(現実)な体験としてインバウンド(訪日客)の増加にもつながる」など期待を表明し、潜在的な市場であるアジアでも同様の調査を検討する意向を示した。
JFOODOは日本貿易振興機構(ジェトロ)の組織の一部として設置され、日本産ブランドを構築するためのプロモーション、日本の食文化に関する海外に向けた情報発信、海外市場の調査・分析・報告などを担っている。
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