NZの酒類消費、15年で最大の落ち込み NNAオーストラリア
2024.03.12

ニュージーランド(NZ)の2023年の年間アルコール消費可能量が4億7700万リットルで、前年比4.4%減少と過去15年間で最大の落ち込みとなったことがNZ政府統計局の調べで分かった。統計局は、昨年は悪天候を含むさまざまな課題があった年で、ワインやビールの輸入も減少したと指摘した。(グラフ:ニュージーランドのアルコール消費可能量の推移)
酒類別では、ビールが2億8081万リットルで、前年から4.4%減。ワインが9864万リットルで同2.4%減。スピリッツやスピリッツベースの酒類は9713万リットルで同5.7%減だった。
ビールはすべての種類が減少し、特にアルコール分が2.5-4.35%のカテゴリーが6%減と最大の落ち込みだった。一方で最大量だったのは4.35-5%で1億7000万リットルだ。
ビール醸造者協会の関係者はNZヘラルドに対し、「広範な経済的かつ生活コストの圧力が、消費と飲食業界に圧力をかけた」と述べた。
また、ワインの輸入量は前年比9.9%減の4000万リットルで、輸出量は同9%減の2億6900万リットルだった。22年のワインの輸入、輸出量は前年からそれぞれ0.6%増、5%増だった。
23年に最も減少したのがスピリッツ類だ。ウオツカやウイスキー、ジンなどの伝統的なスピリッツは1.4%増と比較的横ばいだったものの、RTD(蓋を開けてすぐ飲める酒類)が7%減だった。
■希望の星はノンアル飲料
NZヘラルドによると、業界団体NZブリューワリーズ協会(BANZ)のファース代表は「消費者が1ダースのビールではなく6本入りを買うなど、経済的締め付けが需要を減らした」と述べた。また飲食業界も大幅な売上減少に直面した上、人材不足やサプライチェーンの混乱、規制圧力など、既存の課題の圧力が増えているという。
一方で同氏は、明るい材料として前年比8%増のノンアルコール飲料を挙げた。同飲料は20年から267%増加しているという。
■クラフトビール業界に多難
昨年は、複数のクラフトビール醸造社が廃業したり、深刻な経営難に陥った。
7月にはエピック(Epic)・ブリューイングがコスト増や新型コロナウイルスの影響で破綻。8月にはブラザーズ・ビールが自主管理に入った。管財人を務める会計大手PwCは、高インフレと新型コロナにより、キャッシュフローに課題が生じたとした。
また、マウントエデン(Mt Eden)やピハ(Piha)は管理下での操業を続け、ディープクリーク( Deep Creek)は、中国向け大量出荷で欠陥があり、10月に破綻した。
■NZ人の酒消費量、1日ビール1缶
米国中央情報局(CIA)のワールドファクトブックによると、NZ人のアルコール消費量は1人当たり年間9.17リットル(19年、純アルコール換算)で、世界第32位。オーストラリアは第27位だった。一方で経済協力開発機構(OECD))によると、22年のNZ人のアルコール消費量は同8.7リットル(同)だった。
また、NZ政府統計局は、23年のNZ人の成人1人当たりのアルコール消費量は1日当たりスタンダードドリンク単位で1.86とした。1スタンダードドリンクはアルコール10グラムに相当し、アルコール分3.5%のビール1缶に相当するという。
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