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中長期リスク踏まえ議論を  アフリカは瀬戸際に  農中総研、食料安保で緊急フォーラム

2022.11.09

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中長期リスク踏まえ議論を  アフリカは瀬戸際に  農中総研、食料安保で緊急フォーラムの写真

 農林中金総合研究所は9日午後、緊急フォーラム「世界と日本の食料安全保障を考える~世界で進む食料需給の構造変化と日本の食料安全保障」をオンラインで開催、約500人が参加した。

 同研究所の理事研究員である阮蔚(ルアンウエイ)氏(写真左)が「世界食料危機~人類が直面する複合リスクの実相~」と題して講演し、輸入小麦への依存が強いアフリカの途上国は「瀬戸際にある」と指摘し、「ロシアの肥料輸出は小麦以上に停滞しており、(来年の)生産を下押しする」と懸念を示した。

 さらに原油価格の高騰、ドル高、干ばつなど食料不足につながるリスクは複合的で、「主要穀物は国内で生産し、輸入に依存するのをやめるべきだ」と述べた。

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 引き続き同研究所の平澤明彦理事研究員(中央左)、農林水産省農林水産政策研究所の古橋元食料需給分析チーム長(中央右)、資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表(右)によるパネルディスカッション「世界と日本の食料安全保障を考える」を開いた。

 柴田氏は世界の人口増加と所得向上により、2030年の世界の食料需要は34億㌧に増える一方、単収の伸び悩みから供給は31億㌧にとどまり、3億㌧不足するという独自試算を示し、「わずかな需給バランスの変化で、価格が大きく変動する」と、不安定な穀物相場が続くと予測。「人民元を決済手段とする中国と、ロシアによる資源の囲い込みが進む」と予想した。

 古橋氏は農林水産政策研究所が公表した「2031年の世界の食料需給見通し」を踏まえ、「経済成長の鈍化により穀物などの需要の伸びは緩やかになり、国際価格はやや低下傾向を強める」との予測を示し、「価格が下落した場合は、農業分野の投資の抑制につながる恐れがある」と指摘した。

 平澤氏は「食料危機は中長期の傾向から外れた動きとして生じる」と指摘し、柴田氏と古橋氏の見通しは矛盾しておらず、価格が下落するリスクも含めて「大局観を踏まえて議論することは有意義だ」と補足した。

 コーディネーターの皆川芳嗣農中総研理事長は、農林水産省が食料・農業・農村基本法の検証作業を進めていることに関連して、「世界の分断が進む中、食料安全保障を根底までさかのぼって議論し、各国の先進事例に学び、農村についても具体的な考え方を充実してほしい」と期待を示した。

 農中総研によるロシアのウクライナ侵攻を受けた緊急フォーラム「世界と日本の食料安全保障」は、413日開催の「ウクライナ情勢を受けて」、7月20日の「ウクライナ危機長期化を受けて」に続いて3回目。
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