FAO前事務局長と中村丁次氏に大賞 食の新潟国際賞、食の課題解決に貢献
2022.11.29
食・農分野の国際的な業績を表彰している公益財団法人「食の新潟国際賞財団」(新潟市)は11月29日、飢餓撲滅策(ゼロハンガー)を推進した国連食糧農業機関(FAO)のジョゼ・グラジアノ・ダ・シルバ前事務局長と、栄養学を確立し、学校給食の基礎を作った日本栄養士会会長の中村丁次・神奈川県立保健福祉大学学長(写真中央、左は池田弘・同財団理事長)に大賞を授賞した。
グラジアノ前事務局長(73)は、2003年にブラジルのルラ政権下で食料安全保障・飢餓撲滅特命相に就任、11年から19年にかけてFAO事務局長として国際的な飢餓の撲滅に取り組み、ゼロハンガーを国連の持続的開発目標(SDGs)の目標に盛り込んだ。
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朱鷺メッセ(新潟市)で開いた授賞式で、グラジアノ前局長はビデオ録画で講演(写真)し「食料の供給だけでは飢餓を撲滅できない」と指摘、「真の課題は安全で健康な食べ物に毎日アクセスできる食料システムに変革することだ」と述べ、賞金(500万円)を自らが所長を務める「ゼロハンガー研究所」に寄付することを明らかにした。
オタヴィオ・エンヒッケ・ジアス・ガルシア・コルテス駐日ブラジル大使は祝辞を寄せ、「ブラジルは50年足らずで食料の純輸入国から世界有数の生産国・輸出国となった。条件付き現金給付と家族経営農家への支援により、国内では最貧困層でも十分な食料を確保できるようになった。グラジアノ前事務局長が公共政策の考案と実践に貢献した」と指摘した。
中村会長(74)は授賞式で講演(写真)し、戦後の栄養改善や最近の肥満の抑制など、栄養学が食生活に果たした役割を説明し「健康に貢献してきた」と述べ、東アジアなど海外に「日本栄養学」を発信し、普及・拡大を図りたいと抱負を語った。
食の新潟国際賞大賞の授賞は7回目。この日は大賞のほか、国際協力の実績を顕彰する「佐野藤三郎特別賞」を建設コンサルタント会社キタック(新潟市)の中山輝也会長、潜在力を評価する「21世紀希望賞」を国際研究機関アフリカライスセンター(本部コートジボワール)の齋藤和樹主席研究員、地元の活動を対象にした「地域未来賞」を雪のエネルギー利用研究の先駆者である株式会社SnowBiz(新潟県長岡市)の伊藤親臣代表取締役に、それぞれ授賞した。
(左から中山輝也氏、齋藤和樹氏、伊藤親臣氏)
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