下関のフグを売り込み、味と安全をマレーシアへPR NNA
2023.11.27
山口県下関市は11月20日、日本貿易振興機構(ジェトロ)と協力し、マレーシアの現地飲食店や食品事業者向けに特産品のフグをはじめとする水産品や日本酒を売り込むイベントを開催した。マレーシアにはフグ食文化があり、世界で唯一日本産フグの「自由貿易国」となっている一方で、今年に入り家庭で調理したフグによる食中毒事件で死者が発生。関係者は、日本産フグ市場の拡大に向けては、味の良さだけでなく安全性を根付かせることも必要だとしている。
「下関市ふく・寿司・酒のビジネスミーティングinマレーシア」と題した20日のイベントでは、地場飲食店など10社以上が参加。下関市の4企業による試食・試飲が行われた。(写真上:下関市とジェトロによる商談会には地元の飲食店関係者など10社以上が参加した=20日、クアラルンプール、NNA撮影)
今回売り込みを図るのは、下関産のフグ刺し身のほか、危険な部位を取り除いた身欠き、唐揚げ、干物、ヒレなどの加工品。このほか、すし向けにタイ、ヒラメ、太刀魚、クエの冷凍刺し身も紹介した。フグは「福」に通じることから、薄づくりの刺し身は春節(旧正月)につきものの料理「イーサン(魚生)」向けの需要を狙っている。一方、日本酒については下関市で約100年の歴史をもつ酒蔵の下関酒造がフグヒレ酒のほか、フグや現地で人気のサケ、ウニ、カキとのペアリング向けに開発した酒を紹介した。
(フグの薄造りは春節のイーサン向け需要を狙う=20日、クアラルンプール、NNA撮影)
イベントに参加した国際ふぐ協会の古川幸弘会長によると、日本からフグを輸出できるのは、マレーシア、シンガポール、オーストラリアなどに限られる。中でもマレーシアは世界で唯一、日本産フグの全ての部位を証明書類取得等の特別手続きなしで輸出できる自由貿易国となっている。国際ふぐ協会は2019年ごろからマレーシアで販促活動を行っており、日本産フグは富裕層が利用する地元の高級飲食店で提供されている。
フグはマレーシアでも水揚げされ、珍味として一部で食されている。一方で、えさや品種の違いから日本のフグよりも毒性が強いという。未熟な調理技術による食中毒も起きており、今年3月にはジョホール州で、地元の鮮魚店から購入したフグを自宅で調理して食べた80代の夫婦が死亡する事件が起きた。国際ふぐ協会の古川氏は、日本のフグの味わいとともに安全性もアピールしていきたいと話した。
下関市によるフグや特産品の販促イベントは、マレーシアのほかシンガポールでも開催する。マレーシアでは飲食店向けの商談会がメインとなったが、シンガポールでは一般消費者向けに売り込みを図る。
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