中村哲さん創設の医療団に大賞 第6回「食の新潟国際賞」
2020.08.05
公益財団法人「食の新潟国際賞財団」(新潟市)は7月31日、アフガニスタンで殺害された医師の中村哲さん(写真=PMS提供)が現地代表を務めた非政府組織(NGO)「ペシャワール会」(福岡市)と、アフガン人を中心にした組織「PMS」(平和医療団・日本)を、第6回大賞に選んだ。
同賞は、飢餓など世界の食料問題に取り組み成果を上げた人や団体を顕彰する。食・農分野の国際賞は国内唯一のユニークな顕彰で、今回は世界12カ国から87人の推薦があった。
NGOペシャワール会とPMSは、アフガニスタンに用水路を建設して農業を興し、干ばつと内戦による餓死から多くの人の命を救った点が評価された。団体を創設した中村さんは昨年12月に銃撃された。同賞は故人を授賞対象としていないが、中村さんの活動の継続を支援する上で3者連名の授賞とし、生前の活動をたたえた。
同日、新潟市役所で会見したペシャワール会会長の村上優さん(70)は「(中村さんは)水があり、家族で食べることが平和につながると繰り返し語り、農業支援に力を入れていた。これからも中村さんの夢を引き継ぐ」と述べた。賞金の1000万円は用水路の建設資金に充てるという。
同財団は「大賞」とともに、国際協力の実績を顕彰する「佐野藤三郎特別賞」に、コメの品質研究の第一人者である新潟薬科大学の大坪研一特任教授(69)を選んだ。
また、潜在力に富む活動を対象とする「21世紀希望賞」には米粉パンの製造技術を開発した国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)の矢野裕之食品素材開発ユニット長(55)を選んだ。
今回地元の活動を対象に新設した「地域未来賞」は、餅や包装米飯の開発など食品加工技術の向上に貢献した元新潟県農業総合研究所食品研究センター長の江川和徳さん(75)が受けた。
食の新潟国際賞は隔年で表彰され、今回が6回目。表彰式は11月24日、新潟市・朱鷺メッセで開催する。
(食の新潟国際賞の大賞受賞について、ペシャワール会の村上優会長の所感を2020年8月19日に掲載しました。https://agrilab.kyodo.co.jp/2020/08/post-88.html)
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