いぶし銀のような魅力 ブーム再燃のサバ缶 畑中三応子 食文化研究家
長引くコロナ禍と相次ぐ自然災害で、缶詰が見直されている。ここ10年で驚くほど種類が増えたおつまみ缶も、家飲み需要でますます人気だが、いぶし銀のような魅力を発揮しているのが、そのままおかずになり、料理素材としても便利に使える昔ながらの水産缶詰。中でもブームが長く続いているのがサバ缶である。 (写...
ちょっと冒険しませんか? 個性豊かな南仏ローヌ 石田敦子 エノテカバイヤー
"南仏"とくくってワインを語るには、南フランスは広すぎる。ローヌは南北200㌔あり、ブルゴーニュに近い。北から南まで品種もスタイルも異なり、地中海に近いリゾート地プロバンスはロゼが有名で、手ごろなワインがそろうラングドックもある。 今回触れたいのはローヌ。この地もイタリア・ピエモンテ同様、ワイン...
地熱蒸気で作る「ひんぎゃの塩」 東京・青ケ島の名産 小島愛之助 日本離島セン...
今回の舞台は東京諸島の青ケ島、東京港の南358㌔、八丈島の南65㌔にある周囲9㌔の火山島である。この距離感が意味しているのは、夜間に民宿から一歩外に出て海を眺めてみても何の明かりも見ることができない、星空しか見えないということである。篠原ともえさんは母方の故郷である青ケ島を「星の箱船」と呼んでいる...
シャブリは奥が深い 土地ならではの魅力満載 石田敦子 エノテカバイヤー
日本では特に知名度が高いとされるフランス・ブルゴーニュ産の白ワイン"シャブリ"。 ワインを普段飲まれない方もシャブリをご存じの方は多いはずだ。私が「シャブリが大好き」と話すと、ワイン業界人同士であれば「やっぱりそうだよね~」となり、友人や知人からは「え?シャブリなの?」と驚かれる。 流通量や生...
上方のうすくちから江戸のこいくちへ しょうゆはどこから来たのか(2) 山下弘...
前回は、しょうゆの歴史を呼称に関する古文書の記述を中心に考察してみました。「醤(ひしお)」や「豉(くき)」と呼ばれるしょうゆとみそに分化する前の状態で大陸から日本に伝わった発酵調味料は、7世紀には液状と固体にわかれて使い分けられるようになっていました。その液状の調味料を「醤油」と呼び始めたのが15...
後世に受け継ぐ努力 ヒジキ人気復活の山口県・浮島 小島愛之助 日本離島センタ...
山口県の最東端に位置し、瀬戸内海の西に浮かぶ屋代島(周防大島)と、その周囲に浮かぶ五つの有人島と25の無人島から成る山口県周防大島町は、離島振興の父といわれる民俗学者、宮本常一翁の故郷である。 屋代島は1976年に大島大橋によって対岸の柳井市とつながり、沖家室島は1983年に沖家室大橋によって屋...
ワインが示す畑の〝底力〟 新ビンテージ試飲の季節 石田敦子 エノテカバイ...
4月は進級、進学など新しいことが始まる時期でもあるが、私たちにとっては、フランス・ボルドーの新「ビンテージ」(ブドウが収穫された年)を試飲するタイミングだ。(写真:ボルドー、シャトー・ムートン・ロスチャイルドにて=2018年4月) ボトルへ瓶詰めする前、たるで熟成中のワインを試飲しながら買い付け...
木簡に残る「醤」の文字 しょうゆはどこから来たのか(1) 山下弘太郎 キッコ...
私どもの大切な研究テーマの一つにしょうゆの歴史、成り立ちに関する研究があります。 日ごろ身近に、当たり前にあるしょうゆですが、その歴史に関してはまだあまり明確ではありません。 これまでも多くの研究がなされ、報告がされてきました。それらの功績を体系的にとらえ、研究が浅い部分を補い一本の流れを見い...
語れる産地ピエモンテ 石田敦子 エノテカバイヤー
「ワイン業界のトレンドは?」そう聞かれることは多いがコロナ禍における「家飲み」の影響はワインビジネスとしても大きい。個人的にも、ワインの消費はもちろん、グラス、ナイフ、フォーク、お皿、仲間入りしたグッズが増えた。 「ワインの産地や種類」という軸で考えると、なかなか流行色のように「これ!」と言い切...