食べ物語

感謝伝えるお供え料理  お盆の意味から考える  タカコナカムラ ホールフード協会代表理事

2021.08.05

感謝伝えるお供え料理  お盆の意味から考える  タカコナカムラ ホールフード協会代表理事の写真

 お盆は先祖の霊があの世から帰ってきて、家族と共にひとときを過ごし、再びあの世に帰っていくという、日本古来の祖霊信仰と仏教が結びついてできた行事です。仏教で正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)といいます。

 お盆の行事として「迎え火」は、先祖の霊が迷わずにたどり着けるように8月13日の夕方に行います。オガラ(皮をはいだ麻の茎)を焙烙(ほうろく)の上に折って燃やすのが一般的です。火を使えない集合住宅などでは、ちょうちんを使うこともあります。

 私の実家、山口県では、夕方には墓へ迎えに行き、おんぶをする仕草をして「迎えに来たから帰ろうね」と声をかけ連れて帰る習慣もあります。

 「送り火」は15日か16日に、先祖が無事に浄土へ帰れることをお祈りします。有名な送り火は京都の五山の送り火です。

お供えは精進料理


 お盆のお供え料理は、精進料理を作ります。仏教には「五戒」という教えがあり、生き物の殺生を禁じています。ご先祖様の霊や動物たちの霊に感謝するという意味も込めて、肉や魚を使わず、穀物や野菜、海藻、果物などを使用した精進料理をお供えします。使ってはいけない食材もあります。

 煩悩を刺激するという理由から「五辛(ごしん)・五葷(ごくん)」は使いません。「五辛」は辛味のある野菜を指し、「五葷」はニラ・ネギ・玉ネギ・ニンシク・ラッキョウがなど臭みのあるものです。

 宗派によりますが、一般には「一汁三菜」「一汁五菜」のお膳が正式とされています。

 「生」「煮る」「焼く」「揚げる」「蒸す」の5つの調理法を使い、「甘い」「辛い」「すっぱい」「苦い」「塩辛い」の5つの味付けの料理を作ります。さらに、赤・白・緑・黄・黒の5色の献立にする必要があります。これらは「五味・五色・五法」という考えに基づき、日本料理の盛り付けの基本ともされています。

 料理は「霊供膳(りょうぐぜん)」という、ままごとの道具のような小さなお膳に盛り付けます。
① 平 椀 ・・・ 煮物
② 親 碗 ・・・ 白ご飯
③ 高 皿 ・・・ 漬物、香のもの
④ 壺 椀 ・・・ 煮物、酢の物、あえ物
⑤ 汁 椀 ・・・ みそ汁、すまし

気持ちを伝える


 霊供膳に作り物の料理が盛り付けてあるものも、ネットでは販売されています。確かに作る手間はないし、腐ることもありませんが、格好だけのお膳を購入するのではなく、なるべく作ったものを供えてください。

 三食でなくても、朝・晩でもいいと思います。一汁三菜でなくても、故人が好きなものを供えたり、おいしいものを仏壇に供える気持ちが大切です。

 お盆のお供え料理には、それぞれ意味があります。お供えを作らなくても、ぜひお盆の意味から知ってほしいと思います。

 お盆を「夏休み、お盆休み」としてしか、捉えていない人は多いかもしれません。彼岸でご先祖様が「しょうがないなあ」「お盆も帰るのやめよう」なんて話しているかもしれませんね。今ある自分はご先祖様あっての存在、せめてお盆くらい、感謝の気持ちを伝えてみませんか。


 盛夏にお勧めの「冷たいトマトそうめん」をご紹介します。

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 そうめんは、仏教と深いかかわりがあります。ご先祖様があの世に帰るときの、手綱として使われると考えられています。ゆでたそうめんを仏壇にお供えするときは、つゆもセットでお供えします。生きている人と同じ扱いをする心が大切なのです。

 〈材料〉
・そうめん     2束
・ミニトマト    適量
・めんつゆ     適量
・ガーリックオイル 少々
・パセリ      適量

 〈作り方〉
 ①そうめんはゆでて、水気をよくキッチンペーパーで取っておく。ニンニクをみじん切りし、オリーブオイルを注いでガーリックオイルを作っておく
 ②ミニトマトを粗みじん切りし、ボウルに入れて、めんつゆとあえる
 ③器にそうめんを盛り付け、②を乗せて、パセリを飾る。仕上げにガーリックオイルをかける


  文、写真は料理家のタカコナカムラさん。安全な食と暮らしと農業、環境を「まるごと=whole(ホール)」考えて活動する一般社団法人「ホールフード協会」の代表理事です。

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