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【マーケットリポート】中国のコーヒー市場(後編)  NNA

2024.04.18

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【マーケットリポート】中国のコーヒー市場(後編)  NNAの写真

 今回も前回に引き続き、中国におけるコーヒー市場を見ていく。(写真はイメージ)

■前編のまとめ


 ・コーヒー製品には、インスタントコーヒー、コーヒーが含まれ、コーヒー飲料は含まれない。主要調査対象は、インスタントコーヒー製造業者とコーヒーチェーン店。

 ・2022年度の売上高は1742億元(約3兆6600億円)。

 ・中国のコーヒーショップの6割以上は華東と華南にあり、5割近くは1級都市(沿海部大都市)と新1級都市(1級都市に次ぐ規模の都市)に集中している。

■発展動向予測


 ・インスタントコーヒー分野はスイス系食品大手ネスレの独り勝ちで、市場シェアが最も大きい。他ブランドはネスレとの売り上げ規模やブランド知名度の面でまだ大きな隔たりがある。

 ・コーヒー店をチェーン展開する企業が増え、競争が白熱化している。米スターバックスなど老舗ブランドは急速な拡大モードに入り、後発ブランドも次々に台頭している。

 ・中国ブランドはここ2年間で顕著な躍進を見せている。「ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)」は1万店舗目を福建省厦門(アモイ)市にオープンし、初めて店舗数が1万店を突破したブランドとなった。22年創業の「コッティコーヒー(庫迪珈琲)」は23年8月時点で全国の店舗数を約5000店まで増やしている。

 ・コーヒーチェーン業界ではフランチャイズ方式が主流で、スターバックスを除くコーヒーブランド上位10社全てが同方式を採用している。一方で、22年の中国でのひきたてコーヒーカフェのチェーン化率はわずか25%にとどまる。34級都市(中・小規模の地方都市)では独立経営のカフェが大半を占める。軽食に注力した「マーン・コーヒー(漫珈琲)」などのブランドも多いが、その大半は伸び悩んでいる。

 ・中国のコーヒー業界の投融資は衰えず、22年1月~23年3月の投融資案件は30件に上った。近年は新ブランドが台頭し、業界の再編が加速。さらに消費者のコーヒー文化育成が徐々に進む中で、3級以下都市の市場開拓が白熱している。

 ・今後数年にわたり、インスタントコーヒーの市場シェアはレギュラーコーヒーに奪われる傾向が予想される。伝統的なアメリカンコーヒーやカフェラテから、独創的なミルクコーヒーやフルーツコーヒー、昨年人気を集めた白酒(中国の蒸留酒)とのコラボラテまで、コーヒードリンクの商品化がトレンドになる。

 ・中国の1人当たりコーヒー消費量は過去10年間で大きな伸びを示し、13年の年間3.2杯から22年には11.3杯に拡大した。ただ、同年の世界の1人当たりコーヒー消費量(75.2杯)には及ばない。

 ・中国の消費者によるコーヒーの購入方法は次第に手軽でスピーディーなものに移行しており、コーヒーの消費も日常化している。日本や米国など先進国のコーヒー市場規模をベンチマークとすると、中国のコーヒー産業には大きな発展の余地がある。(NNA

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