熱を帯びる代替食品市場 韓国で年8%超成長、新商品も相次ぐ NNA
2024.03.26
韓国の食品メーカーが、肉類に代わる植物由来の代替食品の開発を加速させている。独自のブランドを立ち上げ、商品の多様化を図っている。環境問題への関心が世界的に高まる中、韓国の代替肉市場は年平均8%以上の急成長が見込まれていることから、今後も最先端のフードテックを取り入れた新製品の発売が相次ぐ見通しだ。
代替肉は菜食主義者の増加、イスラム教の戒律に従う「ハラル食品」の需要拡大に加え、ダイエット効果も期待できる。また、温暖化ガスの発生を抑制できる点から、環境問題に敏感な消費者の購入動機にもなっているようだ。
市場調査会社のフューチャー・マーケット・インサイツは、世界の代替肉市場は2024年の188億米ドル(約2兆7960億円)から年平均28.8%成長し、34年までに2990億米ドルに達すると見通している。現在主流の植物由来の商品だけでなく、細胞培養肉が普及すれば成長速度はさらに加速する可能性が高い。
韓国でも代替肉市場は拡大傾向にある。すでに、CJ第一製糖や新世界フード、東遠F&Bなど食品大手各社が進出。韓国農水産食品流通公社(aT)によると、韓国の代替肉市場は23年の約252億ウォン(約28億1200万円、推計値)から25年には約295億ウォンと、年平均8.2%成長する見込みだ。
■CJがスープ類の代替商品を発売
代替食品ブランド「プランテーブル」で同市場に本格進出したCJ第一製糖は昨年11月、植物性タンパク質(TVP)を使用したレトルト商品の「ユッケジャン」と「わかめスープ」を発売した。
それまでの同社の代替肉商品群はギョーザやハンバーグ、ミートボールなど肉類に代わる商品が中心だったが、スープ類の代替食品商品は初めて。ユッケジャンとわかめスープには、同社が自社開発した植物性タンパク質が使用されているという。
同社のイ・ジフンAlternative Protein PMは「韓国国内の代替食品市場はまだ黎明(れいめい)期だが、ここ数年間は年30%以上の高成長を遂げている。消費者に多彩な選択肢を提供できるよう新食品の開発を続けていく」とコメントした。
CJ第一製糖は21年末のプランテーブル立ち上げからこれまでに、累計約800万個以上の代替食品を世界で販売している。
■新世界は韓国初の代替肉カフェ
新世界フードも代替肉事業の将来性に期待している企業の1つだ。16年から開発に取りかかり、21年に「人類健康・動物福祉・地球環境」に貢献することを目的に代替肉ブランド「ベターミート」を発売して代替肉市場に本格参入した。
22年7月には、韓国初の代替食品カフェ「ザ・ベター」を期間限定のポップアップストアとしてソウル・狎鴎亭(江南区)にオープン。ベターミートを使用した商品だけでなく、植物性原料の代替卵を使ったケーキやクッキー、パンなど約30種の商品を販売した。(写真上:新世界フードの代替食品ブランド「ベターミート」。22年には、ベターミートを使った代替食品専門のカフェもポップアップ形式で出店している=韓国、同社提供)
消費者の代替肉に対する認知度向上に向けた取り組みも行っている。同年8月から代替肉を知らせるイベント「ベタークラス」を定期的に開催しており、今年3月4日には代替肉で作った韓国伝統食の「スンデ」を披露した。
■多くの企業による競争不可欠
代替肉が定着しつつあるのは、フードテックの高度化によって代替肉の味や質感、風味などが実際の肉と大差がない水準まで向上したことが大きい。さらに現在は、動物保護や環境問題への寄与という「付加価値」を生み出す点も重要視されている。
その中で持続的な成長を続けるには、代替肉を扱う企業の数が重要になる。新世界フードのソン・ヒョンソク代表は、このほど開かれたベタークラスで、「多くの企業の進出が不可欠」とし、「代替肉市場はまるで太平洋のよう。広大な太平洋で1人で魚を捕ることはできない、競争者がいるのが望ましい」と強調した。(NNA)
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