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宮城大、シンガポールへの青果物輸送確立へ実証実験

2023.10.19

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宮城大、シンガポールへの青果物輸送確立へ実証実験の写真

 宮城大学は今月、シンガポールに梨とブドウを輸出する実証実験を実施する。宮城県の仙台港から東南アジア向け青果物の海上輸送方法を確立するためで、同様の取り組みは初めてという。(写真はイメージ)

 宮城大学食産業学群の食品保蔵学研究室が、水産物専門商社の仙台水産(仙台市)、JA全農みやぎ、宮城県と共同で、シンガポール向けに宮城県産梨と山形県産ブドウの混載海上輸出の実証実験を行う。

 10月16日に宮城県の仙台港を出港し、30日にシンガポール港に到着する予定だ。今年3月には香港向けにイチゴの海上輸出試験を成功させており、より遠方で温度管理の難しい赤道直下のシンガポールへの輸送実験に挑戦することにした。

 食品保蔵学研究室が、温湿度、振動衝撃対策などの流通環境管理や、機能性包装を活用した長期間品質保持技術を指導。輸送用コンテナはフル充填(じゅうてん)が求められるため、生理的・物理的特性が大きく異なる梨とブドウによる混載輸送で実験する。

 食品保蔵学研究室は、将来的には宮城県にとどまらず、東北地方の青果物の輸出拡大に貢献したい考えだ。

 青果物の海外輸出は現在、品質保持のため輸送期間を短縮しなければならず、航空便による輸送が主流だ。ただ輸送費が割高になるため、低コスト化が可能な海上輸送の利用が求められている。

 ただ東南アジア向けに青果物を海上輸送するためには、生産者が出荷して現地の消費者の手元に届くまで約3週間かかるため、長期品質保持技術の確立が課題となっている。(NNA

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