グローバル

日本の水産物、香港が禁輸 10都県産、検査結果を毎日公表  NNA

2023.08.30

ツイート

日本の水産物、香港が禁輸 10都県産、検査結果を毎日公表  NNAの写真

 日本政府が東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を8月24日に開始する方針を決定したことを受け、香港政府は同日から10都県を産地とする水産物の輸入を禁止する措置を発動すると発表した。日本側は禁輸を避けるため話し合いの場を設けてきたが、香港側の考えは覆らなかった。24日以降は既に実施している日本産食品に対する放射線検査結果を毎日公表するなどして、食品安全の確保を強化する。

 政府環境・生態局の謝展寰局長が22日、記者会見を開いた。東京、福島、千葉、栃木、茨城、群馬、宮城、新潟、長野、埼玉の10都県を産地とする水産物の輸入を停止する。生鮮、冷凍、冷蔵、乾燥またはその他の方法で保存された全ての水産物と海水由来の塩、海藻が禁輸となる。(写真:政府環境・生態局の謝展寰局長は、24日から10都県を産地とする水産物の輸入を禁止する措置を発動すると発表した=22日、香港政府提供)

 謝氏は「香港政府は処理水の放出が食品安全に及ぼす影響について、日本政府に対し強い懸念を繰り返し表明してきた」と強調。食品安全は市民の健康と生活に関わる重要な問題であり、政府は香港で販売する食品が全て安全で食用に適していることを保証する責任があると説明した。

 政府食品環境衛生署食品安全センターと漁農自然護理署(漁護署)、香港天文台(気象台)は、処理水放出開始に伴い、放射線モニタリングを強化する。現在は輸入した日本産食品に対して実施した放射線検査結果を月1回公表しているが、今後は毎営業日ごとに発表する。香港近海の環境放射線レベルや香港産水産物の放射線レベルに対する検査結果も公表する。

 禁輸措置の実施期間は未定。日本の放出計画を信頼できるようになれば緩和も検討するとした。

 日本側から香港の禁輸措置には科学的根拠がないと指摘されていることに関しては「処理水放出の安全性の確保や緊急時の対策について、日本側から納得できる答えが得られなかった」と主張。10都県を選んだ根拠については「より慎重な措置とするため、沿岸地域とそれに接する県を選んだ」と説明した。

 会見では飲食業界への影響についての質問も出た。謝氏は政府の食品安全に対する責任を強調した上で、飲食業界にとっても最善の方法だと述べた。業界と協議し、政府認証などの方法で食品安全を保証していくとしている。

 政府は23日に食品安全の強化策についてさらに詳細を説明する方針だ。

政府トップ「強烈に反対」


 香港政府トップの李家超(ジョン・リー)行政長官は22日、日本政府が決定した方針を受けて「強烈に反対する」との声明を出した。公式フェイスブックに投稿した。

 李氏は、日本の決定は「食品安全に排除不能なリスクをもたらし、海洋環境に回復困難な汚染と破壊をもたらすことを顧みず、自身の問題を無責任に他者へ押しつける」ものだと非難。「食の安全と市民の健康を守ることを香港政府は最優先する」とした。

マカオは肉・野菜も禁輸


 マカオ政府は22日、香港と同じ10都県を産地とする生鮮食品、動物由来食品、海水由来の塩・海藻の輸入を24日から禁止すると発表した。野菜、果物、乳・乳製品、水産品・水産加工品、肉類・その製品、家禽(かきん)卵が含まれる。

 マカオ政府は「日本側が近隣諸国と十分な協議をすることなく、『核汚染水』の海洋放出を決定したことは極めて無責任な行為だ」として「強烈な不満」を表明した。(NNA

最新記事