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豪の農産物生産高、6年ぶり減少  乾燥と価格下落で  NNAオーストラリア

2023.06.14

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豪の農産物生産高、6年ぶり減少  乾燥と価格下落で  NNAオーストラリアの写真

 オーストラリア農業資源経済・科学局(ABARES)は6日、2023/24年度(23年7月―24年6月)の農産物生産高が790億豪ドル(1豪ドル=約91円)で、前年度から14%減少すると予想した。乾燥した気候により穀物の生産量が大幅に減少することと、多くの農産物価格が下落することが要因だ。輸出額も約2割減少する見通し。17/18年度から拡大を続けていたオーストラリアの生産高は、6年ぶりに成長が止まることになる。(写真はイメージ)

 穀物(油糧種子・マメ類・青果などを含む)の生産高が440億豪ドルで、前年度から22%減少する。国内の生産量が減る一方、海外の気候が回復し市場供給量が増加、価格の下落が影響する。穀物価格は全体で同8.8%下落し、中でも油糧種子は前年度を17.3%下回るという。

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 作物別では小麦の生産高が最も大きく減少し、来年度は97億豪ドルと前年度を60億豪ドル下回る。カノーラと大麦もそれぞれ31億豪ドル、16億豪ドルと大きく減少する。マメ類、ソルガム、砂糖、綿花も、総額で16億豪ドル減少する見込みだ。

 ただ、穀物の減少を青果とワイン用ブドウが一定程度相殺するとみられる。野菜・果物は国内の消費が増加し、ナッツも生産量が増加することで、青果全体の生産高は15億豪ドル増の180億豪ドルに達する。またワイン用ブドウは、22/23年度に生産を抑制した病気の発生が、乾燥した気候により減少し、生産高は1億7400万豪ドル増の10億豪ドルと予想される。

畜産、わずかな減少にとどまる

 畜産物の生産高は350億豪ドルで、2%減とわずかな減少にとどまる見込みだ。全体的な生産量は増加する一方で、価格低下が下げ圧力となる。

 乾燥により23/24年度後半には牧草の入手可能性が低下するとみられ、家畜の解体が進み食肉生産の増加につながる。これにより牛肉の生産量は6%増加し、羊肉も2%増えるとの予想だ。また乳牛数は減少が続くものの、牧草の品質向上と肥料価格が下落し、牛乳の生産量はわずかに増加すると予想される。乾燥が乳牛の健康状態を良好にすることも好材料だ。

 だが価格面では、国内では家畜群の再建がほぼ終了し補充需要が低下することと、海外で牛肉や羊肉の供給が増加することが影響する。牛乳も輸出価格の下落が国内に影響するという。これらにより畜産物の価格は前年度から7.2%下落し、牛乳は5.2%下落すると予想される。

 23/24年度の畜産生産高の内訳は、牛肉が147億豪ドルで3億1,900万豪ドル減、羊肉は43億豪ドルで1億4,600万豪ドル減の予想。牛乳は56億豪ドルで、2億7,900万豪ドル減少するとみられる。

 他方、羊毛は中国の強い需要が価格を引き上げる(3.4%上昇)とみられ、生産高は1億7,500万豪ドル増の33億豪ドルと予想される。

競合の回復で輸出額も減少

 23/24年度の農産物輸出額は650億豪ドルで、過去最高水準だった前年度を17%下回る見込み。特に穀物は380億豪ドルで、同24%減と大幅に減少する。輸出市場の穀物価格は、過去の平均以上を維持すると見込まれるものの、直近2年間の高水準は維持できないという。北米や南米で供給量が回復することが背景だ。ただし小麦はオーストラリアとロシアの生産減が影響し、輸出市場への供給は引き続き逼迫するとみられている。

 一方、畜産の輸出額は270億豪ドルと2%減にとどまる。牛肉・羊肉、牛乳の輸出量は増加するものの、価格下落が広く影響するとみられる。食肉の輸出価格は5.4%下落し、生体家畜も7.4%下落する予想。乳製品も5.9%下がる。

 羊毛は、輸出額は36億2,400万豪ドルで、前年度から7.6%増加すると予想されている。

 ただし23/24年度のオーストラリアの農産物輸出額は前年比では減少するものの、過去3番目の高水準を維持する見込みだ。

(オセアニア農業専門誌ウェルス(Wealth) 6月9日号掲載)

【ウェルス(Wealth)】 NNAオーストラリアが発行する週刊のオセアニア農業専門誌です。

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