食を選べる人は人生が選べる 安武郁子 食育実践ジャーナリスト 連載「口福の源」
2023.05.29
「人に良い」「人を良くする」と書いて「食」。私たちの身体は日々口にしている食べ物でできています。そして、健康は良い食べ方でできています。
今現在、身体のどこかに不調を感じるところはありませんか? 不調を感じるようであれば、ここ数日、何を食べたかを振り返ってみましょう。
人の体の約60%は水分、15~20%はたんぱく質でできています。たんぱく質は体内にためておけないため、毎日摂取しなければなりません。たんぱく質が多く含まれる食品は、肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品などが挙げられます。
プラモデルやパズルを作るとき、一つでも部品が足りないと作品が完成しないように、人間の身体も必要な栄養が足りていないと不調が現れます。例えば、爪が割れやすい、髪にコシがない、運動しても体力がない、肌にツヤがない、集中力がなくなってきた気がする...といったことが一つでも思い当たれば、たんぱく質が不足しているかもしれません。また、食べる時間がなく、簡単な食事で済ませる日が続くと、たんぱく質不足になりがちです。
食育・良食のキーワードは、「選食」と「食戦」。自分に必要な食べ物を選ぶ「選食力」。そして、食べてできた身体で病気やウイルス、ストレスに打ち勝つ力「食戦力」。これらは生きる上で必要な力です。
食べ方は生き方。「運命」とは字のごとく、「食べ物(命)」をどのように口へ「運ぶ」かによって運命は変わります。あなたはどんな食を選び、どのように口へ運んでいるでしょうか?
私が人生の岐路を迎えた時に、出合った言葉が「食を選べる人は人生が選べる」でした。この〝人生〟の部分はさまざまな言葉に置き換えることができます。友だち、仕事、パートナー、働き方、言葉...。まさに選食力が幸福な人生の鍵だと思いました。
全ての世代に食育は必要です。食育は難しい学問でもなく、誰もがすぐに実践できることです。まずは次の一口から意識して食べるものを選び、噛むことを意識して食べてみましょう。少しの意識の変化があなたの未来を変えていきます。10年後、20年後、どうありたいですか? 100年人生です、介護を必要としない高齢期を過ごすためにも食戦力を身につけて、食べて勝ちましょう。
(Kyodo Weekly・政経週報 2023年5月15日号掲載)
最新記事
-
食を選べる人は人生が選べる 安武郁子 食育実践ジャーナリスト 連載...
「人に良い」「人を良くする」と書いて「食」。私たちの身体は日々口にしている食べ物でできています。そ...
-
イチゴフレーバーの希釈飲料 ブレンディ、限定発売
味の素AGFは「ブレンディ」ポーション濃縮シリーズから「ブレンディ ポーション甘熟苺(イチゴ)オレ...
-
ブラジルで鳥インフル 週間ニュースダイジェスト(5月21日~27日)
▼ブラジルで鳥インフル(5月22日) 世界最大の鶏肉輸出国ブラジルは、高病原性鳥インフルエンザH5...
-
小林幸子さん新潟・山古志で田植え 東京農大と、コメはこども食堂へ
歌手の小林幸子さんが25日、新潟県長岡市の山古志地区(旧山古志村)にある「小林幸子田」で田植えを行...
-
自民党が価格転嫁協議を提言 週間ニュースダイジェスト(5月14日~2...
▼価格転嫁協議を提言(5月17日) 自民党の食料安全保障に関する検討委員会などは、政府が見直しを進...
-
研究棟と国際センターを公開 東京農大、創立者榎本武揚の展示も
東京農業大学(江口文陽学長)は創立記念日の18日、世田谷キャンパス(東京都世田谷区、写真)の整備お...
-
高価格帯ブランドを刷新 信州ハム「軽井沢工房」、長野県産豚にこだわり
信州ハム(長野県上田市)はハム、ソーセージの高価格帯ブランド「軽井沢工房」を刷新して11品目をそろ...
-
主食タイプ充実で市場拡大 完全栄養食、参入企業も増加 川崎順子 矢...
少子高齢化と被介護高齢者の増加、コロナ禍のストレス・生活習慣病の悪化、子供の孤食・偏食問題などが取...
-
同士の力で奇跡の復活 澄川酒造場の継承と革新 連載「農大酵母の酒蔵...
2013年7月28日、山口・島根県を集中豪雨が襲い、澄川酒造場(山口県萩市)のすぐそばを流れる田万...
-
世界は「エッグフレーション」 ハワイでは12個1300円も 古賀...
物価の優等生と長年いわれてきた卵の値段が高止まりしたままだ。鳥インフルエンザの感染拡大による供給不...