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地域の食材学ぶ「ガストロノミー」  東京農大、3キャンパス交流イベント

2022.12.14

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地域の食材学ぶ「ガストロノミー」  東京農大、3キャンパス交流イベントの写真

 東京農業大学(江口文陽学長)は食事や料理と文化の関係を考察する「ガストロノミー」の一環で、北海道網走市、神奈川県厚木市、東京都世田谷区にある3キャンパスにちなむ食材を通し交流するイベントを開いた。

 14日は網走の漁業協同組合から提供を受け、学生が加工したホタテのフライを乗せた「ホタテフライカレー」を、北海道オホーツクキャンパスの学内食堂で110食、厚木キャンパスでは165食を販売。世田谷キャンパスでも同日、生活協同組合の食堂カフェテリアグリーンが280食を販売し、学生らが味わった。

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(ホタテフライカレー、370円)


 ホタテは東京農大の生物産業学部と包括連携協定を結んでいる網走漁協、西網走漁協から、提供を受けた。調理が得意な学生が加工を担当し、衛生管理に留意しながら貝柱1750個を処理した。

 ホタテのフライはレストランKIHACHI(キハチ)のオーナーシェフを務める熊谷喜八さんの助言を受けながら、3、4年生が担当。食堂での作業効率を配慮した形状にしたり、フライの加熱温度や時間も実験データで決めたりしながら進め、パン粉を付けた状態で冷凍し、各キャンパスに発送したという。

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 世田谷キャンパスのカフェテリアグリーンで食べた応用生物科学部2年の村川千沙都さん(上の写真)は「おいしかった。ホタテなどの説明を聞いて、北海道キャンパスとのつながりを感じました」と話した。

 これに先立ち12月7日には、厚木キャンパスで生産、収穫したサツマイモと、世田谷キャンパスの試験圃場で生産したシイタケ、江口学長考案の「江口文味噌」を使用した「豚汁うどん・そば」を、3キャンパスの食堂で販売した。

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(豚汁うどん、390円)


 「豚汁うどん・そば」の調理では、サツマイモが煮崩れしないよう、下処理の段階では大きめの一口大とした。熱々の状態で提供できるよう、追加調理での調整や温蔵機器の活用といった工夫をしたという。


 「ガストロノミー」は、「美食」「美食学」の意味にとどまらず、食料の生産も含む「食事や料理と文化の関係の考察」や「食文化・食にかかわる総合的学問」を指す言葉となっている。

 東京農大は学生が国や地域の食文化を重んじ、全国の農場や研究施設で生産している作物や家畜、保有する遺伝子資料、卒業生が生み出す作物や加工品、さらに卒業生自身がガストロノミーであると考え、「東京農業大学ガストロノミー」を推進している。

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(シイタケやキクラゲを栽培する世田谷キャンパスの試験圃場)


 地域の魅力を知る・楽しむ・学ぶ一つの手法としてのガストロノミーに注目し、昨年11月には、皿をキャンバスに見立ててシェフが地域の豊かさを描き、分野の異なるシェフが考える"おいしい"について理解を深めるシンポジウム「産官学・地域連携HUB構想」を開催した。

 今後も地域の農産物や海産物を加工した食品の開発や、生産から盛り付けの美しさまでに込められた哲学の伝達に取り組み、関連イベントを開催するとしている。

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