「食料安保指数」日本は6位 英誌エコノミスト22年ランキング
2022.09.20
英誌エコノミストの調査部門であるエコノミスト・インパクト(Economist Impact)が9月20日に公表した食料安全保障指標(Global Food Security Index)の最新版(2022年)によると、日本は調査対象の113カ国の中で6位となり、前年の8位から順位を上げた。(写真はイメージ)
エコノミスト・インパクトは、食料安保を国内生産だけではなく「システム」として位置付け、各国の状況を「価格の手ごろさ」、「物理的な入手のしやすさ」、「品質・安全性」、「持続可能性・適応性」(前年の「天然資源・回復力」を改編)の4項目で数値化し、100点満点で評価した。
日本は79.5点で前年と同水準だったが、気候変動の影響に加えて、新型コロナの感染拡大やウクライナ戦争で、食料価格の高騰や貿易の制限など各国とも打撃を受けており、日本は比較的安定的な食料供給を確保して順位を上げた。
(出典:Economist Impact)
113カ国の平均は62.2点で小幅ながら3年連続して悪化した。食料価格の上昇や物流の停滞が大きく影響した。首位をフィンランド(83.7点)など北欧先進国が占め、日本を含む上位10カ国と、最下位のシリア(36.3点)やハイチ(38.5点)など下位10カ国の格差は3年連続で拡大し、2倍以上に達している。ロシアは43位(69.1点)、ウクライナは71位(57.9点)だった。
先進国は自国の感染症対策や物価対策で財政状況が悪化しており、途上国に対する資金面での支援に制約が出ている。先進国においても、農業分野の研究開発向けの資金が減少しており、その悪影響が長期に及ぶ恐れもある。
エコノミスト・インパクトは「19年(62.6点)まで一貫して改善傾向を示していた世界の食料安保指標は、最重要の局面を迎えている。従来食料システムが脆弱な国が大きな影響を受けて格差が拡大し、かつてない規模の飢餓を招く恐れがある」と警告している。一方気候変動や女性の参画など持続可能性に向けた成果は、小幅ながら確実に進展していると評価した。
最新記事
-
処理水放出「懸念ほどの消費減ない」 韓国政府 NNA
韓国海洋水産省は9月12日、東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出以降、水産物の消費は懸念...
-
岸田再改造内閣が始動 週間ニュースダイジェスト(9月10日~16日)
▼食料危機時に生産転換指示 農業基本法改正へ(9月11日) 農林水産省の有識者会議は「食料・農業・...
-
宮下農相、水産風評対策が試金石 不毛なWTO協議 アグリラボ編集長コラ...
「処理水」を「汚染水」と言い間違え、内閣改造の前日に「これ以上は息が切れてしまう」とダウン寸前だっ...
-
耕畜連携を主流に フォーラム「食料安保障と地域資源循環の強化に向けて」...
農林中金総合研究所は9月14日、フォーラム「食料安全保障と地域資源循環の強化に向けて~現場の実践か...
-
水産支援拡大1千億円 政府、中国禁輸に対応 週間ニュースダイジェスト...
▼水産支援拡大1千億円 政府、中国禁輸に対応(9月4日) 岸田文雄首相は野村哲郎農相と官邸で協議し...
-
コメ輸出大国が相次ぎ制限 インド、国際価格の高騰に拍車 NNA
世界最大のコメ輸出国であるインドが、輸出制限を相次いで導入している。本年度(2023年4月~24年...
-
脱中国依存へ緊急水産支援 週間ニュースダイジェスト(8月27日~9月...
▼肥料価格、20年比1・5倍(8月29日) 農林水産省は、ウクライナ危機などにより、農家が購入する...
-
日本水産物の加工・販売禁止 中国が連日の措置発令、広がる影響 NNA
中国国家市場監督管理総局は8月25日、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出が始まったことを受けて、...
-
日本の水産物、香港が禁輸 10都県産、検査結果を毎日公表 NNA
日本政府が東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を8月24日に開始する方針を決定したことを受け、香...
-
原発処理水を海洋放出 週間ニュースダイジェスト(8月20日~8月26...
▼ヒグマ「OSO18」を駆除(8月22日) 北海道釧路総合振興局は、釧路町で7月に駆除されたヒグマ...