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土産需要の低迷で横ばい  21年度の菓子市場2兆1419億円  矢野経済研究所

2022.05.23

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土産需要の低迷で横ばい  21年度の菓子市場2兆1419億円  矢野経済研究所の写真

 矢野経済研究所がこのほど発刊した市場調査資料「2022年版 菓子産業年鑑 ~和・洋菓子、デザート編~」によると、2021年度の和洋菓子・デザート類市場(メーカー出荷金額ベース、予測)は、前年度比横ばいの2兆1419億円となった。(写真はイメージ)

 21年度は20年度と同様に、コロナ禍による在宅時間の増加や外出機会の減少から、手土産などのギフト需要の低調が続いた。特に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に発出されたことや、夏のコロナ第5波の影響が大きかった。

 最初の緊急事態宣言中のような巣ごもり需要は発生せず、またコロナ禍以前より、一段低い人出状況の継続が見受けられた。年度後半はワクチン接種の広がりとともに徐々に人出も回復し、長い自粛生活の反動もあり日帰り・宿泊旅行や帰省などで人の移動が増え、それに伴う手土産などの需要も回復がみられた。

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 調査の対象は①和菓子(どら焼きや大福などの生菓子や半生菓子、干菓子、焼菓子など)②洋菓子(ケーキやシュークリームなどの生菓子や半生菓子、焼菓子など)③デザート類(ヨーグルトやプリン、ゼリー、その他カップデザート類など)④アイス類(アイスクリームや氷菓など)の4分野。20年度までのアイス類市場規模は、一般社団法人日本アイスクリーム協会のデータを引用した。

 20年度の市場は前年度比6.2%減の2兆1421億円となった。
 コロナ禍で急速に市場環境が変化し、国内外の観光客や出張客などによる土産需要が大幅に減少し和菓子、洋菓子ともに、製造小売り系企業が厳しい事業環境下に置かれた。

 コロナ対策の一環で企業などの法人会合が軒並み見送られ、冠婚葬祭などの行事も延期または規模縮小となった。和菓子や洋菓子は、こうしたイベント行事の手土産としても多く利用されていたため、店頭販売以外のこうした需要も大幅な縮小を余儀なくされた。

 一方で自家需要は、外出自粛が継続する中、身近なところでできる「プチせいたく」としての需要を取り込み、和菓子・洋菓子ともに堅調だった。

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  20年度の市場の流通チャネル別の動向をみると、構成比は量販店が40.8%、コンビニエントストア(CVS)が23.2%、百貨店が14.0%、専門店・路面店(SC内専門店含む)が7.2%ーなどとなった。

 全般的なギフト需要の縮小で百貨店が構成比を落とし、観光土産などの手土産需要の縮小に伴い、駅関連や空港、高速道路のサービスエリアなどの交通拠点も大きく縮小した。一方、身近な量販店・スーパーは好調だった。

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