子どもへの無償配布に反対 「ゲノム編集トマト不安」と1万人署名へ
2022.01.27
ゲノム編集された種苗・食品を不安に思う農家や消費者らが参加する市民活動団体「OKシードプロジェクト」は27日、オンラインで記者会見を開き、ゲノム編集トマトの苗の無償配布に反対する署名が9195筆に達し、全国の都道府県知事などに提出したと発表した。署名活動は継続しており1万筆を超えるのは確実だ。
パイオニアエコサイエンス(東京)とその関連会社は、GABA(ギャバ)を豊富に含むようにゲノム編集したトマト「シシリアンルージュハイギャバ」の販売を昨年開始し、普及を促進するため福祉施設や小学校に苗を無償配布する計画を進めている。
これに対して、OKシードプロジェクトは、健康や環境への安全性に対する懸念が国際的にも解消されていないのに、日本では届け出だけで表示なしの流通が始まっていることを問題視しており、パイオニアエコサイエンスなど企業側に無償配布の中止を求めるとともに、自治体に対して苗を受け取らないよう要請する署名を昨秋に開始し、1月16日までに集約した9195筆を企業側と全国の都道府県知事、教育⻑、福祉・障害者支援担当部署宛てに送付した。
会見では、「子どもたちは(GABAの効果があるとされる)高血圧症は少なく、何のために無償配布するのか疑問」(種子を守る会香川)、「子どもたちには教材の選択の余地がない。安全性調査や環境影響調査すらしていない苗を受け取らせようというのはあまりに強引」(あいコープみやぎ)、「トマトの大産地である熊本県でゲノム編集トマトが生産されており、交雑が心配」(くまもとのタネと食を守る会)など各地から報告があった。
要請に対して既に、北海道の14自治体、香川県三木町、静岡県富士市、富士宮市などが苗を受け取らない方針を示しているという。OKシードプロジェクトの印鑰智哉事務局長が「ゲノム編集については多様な意見があり、子どもたちを巻き込むことでなし崩し的に普及を図るのではなく、市⺠団体や地方議員、教育・福祉関係者とまず話し合うことが先決だ」と締めくくった。
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