森林生態系の恩恵の評価は「東高西低」 農林水産政策研が試算
2020.12.25
農林水産政策研究所は、山で感じる心地よい空気や景観の美しさなど、森林生態系から受ける恩恵を数値化して都道府県別に試算した。
その結果、森林生態系の評価が最も高いのは東京都、最低は高知県で、全体として東日本が西日本よりも高い傾向を示した。
気候変動や人間活動の影響によって生態系から受ける価値の損失が懸念されており、 国連が「ミレニアム生態系評価」を実施するなど、人々が生態系から受けている恩恵を認識できるように数値化する試みが、国際的に進んでいる。
農林水産政策研究所は、身近な森林の生態系から受ける価値を数値化するため、全国の都道府県を対象にアンケートを実施した。
具体的には、自分たちが住んでいる都道府県の森林面積が現在よりも1ヘクタール(ha)増えることに対して、各世帯がいくら支払ってもよいかという金額を聞いた。この額が大きいほど住民が森林生態系から受ける恩恵を高く評価していることを示している。
森林生態系の価値は全国平均2474円/ha/世帯で、最高は東京都の2815円/ha/世帯、最低は高知県の2042円/ha/世帯だった。東日本が西日本よりも高い傾向を示しており、特に関東、東海、北陸、東北南部の評価が高かった。
同研究所の國井大輔主任研究官は「所得が高い地域では生態系に対する価値の評価が高く、身近に森林が多い地域ではありがたみを実感しにくい」とみている。
論文「生態系からの恩恵を理解し、その価値を知る」をアグリサーチに掲載しました。
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