労働者協同組合法が成立 人と人のつながり方を変える潜在力
2020.12.07
臨時国会で、地域の再生や働き方に深く関わる重要な法律が議員立法で成立した。労働者協同組合法だ。12月5日付の東京新聞が1面トップで報じたのを除くと、主要メディアのほとんどが「無視」と言ってもいいくらいの扱いだが、地域の中で人と人のつながり方を変えていく潜在力があり、極めて意義深い。
農林金融11月号の巻頭コラム「今月の窓」は、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、労働条件が問われている時期での新法成立について、その今日的な意義を解説している。
新法は、組合員が資金を出し合って経営に関わる「労働者協同組合」(ワーカーズ・コレクティブ)と呼ばれる非営利の法人形態を新たに認める内容で、3人以上の発起人を確保すれば届け出だけで設立でき、労働者派遣事業以外の幅広い事業を行える。
株式会社と異なり、一人一人が出資、経営、労働の全てに関わる。貧困支援、後継者がいない中小企業の事業継承、まちづくり、介護や緑化活動など多様な分野での新たな働き方を提供できる。6月に超党派による議員立法として法案が提出され、全政党の賛成で12月4日に成立した。
農林金融の「窓」は、「歴史を振り返れば、大きな困難に直面すると、人々は結集して協同組合を設立し対応してきた」と指摘する。新法をどのように使いこなしていくのかが次の焦点だが、「労働者協同組合」の周知を図る上で、メディアの責任も大きい。